「ダウン症」で生まれた子どもは不幸ですか? 世界ダウン症の日に考えたいひとつのこと
本来の目的は、早期に異常を発見し、生まれくる小さな命が生きる“道すじ”を、くっきりと照らしてあげるためのものでした。
しかし、新聞やニュースでは「検査でダウン症かどうかを判別できる」という部分のみがクローズアップされ、結果、染色体異常が判明したご家族の9割以上が、「中絶」を選択。2年間で223人が中絶し、妊娠を継続した人は、わずか4人でした。
「お母さん、私、生まれてこなくてよかったの?」
報道を見聞きするたび、ダウン症とともに生きてこられたご家族は「人生を否定された」「自分達が不幸の象徴になているようだ」と、悲しみにくれました。
あるダウン症の子どもは、お母さんに こう聞いたそうです。
「お母さん、私、生まれてこなくてよかったの? 私、いらないの?」
残念ながら、ダウン症については、芸術に秀でた人の活躍などステレオタイプな報道が多く、“フツー”に暮らすご家族の様子については、あまり知られていないのが現状です。
ダウン症の子どもは、成長が とてもゆっくりです。「歩く」や「言葉を話す」なども、1~2年以上、遅れてできるようになるケースがほとんど。とはいえ、決して成長しないわけではなく、遅れてやってきた分、できるようになったときの喜びも倍増です。
言い換えれば、まわりの子どもと自分の子どもとを、見比べることなく、自分の子どもの成長を、しっかりと、見つめることができます。
真っ直ぐな心の子どもと過ごすうちに、「自分自身が真人間になれた」。
そう語る親御さんも少なくありません。
ある親御さんは、このようにおっしゃいました。
「まわりの人が気を遣って“自分たち親子なら育ててくれると思って、神様が授けてくれたんだよ”という話をされますが、全然違うように思うんです。逆に、神様が、僕たち夫婦の『弱い面を助ける』ために、授けてくれたんじゃないかなって。『ダウン症の子どもを育ててごらん? きっと、考え方が変わるよというメッセージ』だと受け止めています」
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