「オフロード車イス」が、身障者を開放する <動画>英ベンチャー企業の革新アイデア

拡大
縮小
ヘックスホッグは、でこぼこの道であっても、難なく走破することが可能だ

電動車イスは障害者の移動能力を向上させはしたが、そのほとんどは平らででこぼこのない地面でしか使えない。その点、イギリスのウェルシュ・エンジニア社が開発した新型6輪式全地形走行車イス「ヘックスホッグ」は全く異なり、乗る人に類を見ないオフロード走行を可能にさせ、従来では考えられなかったほどの独立性をもたらした。

ムカデのような接地性

ヘックスホッグの動力源はリチウム電池。独立して制御される6つの車輪と独自のフレキシブル型シャシーのおかげで、ほとんどの険しい地形を走破することが可能だ。

ウェルシュ社の設計者ショーン・ピアース氏は「このシャシーのおかげで6輪全てが下の地面に接地できるようになり、障害者のユーザーに安全性と安定性をもたらしました」と述べる。「一番いい例えとしては、まるでムカデのような接地性でしょうか。ムカデが全部の脚で岩場や洞窟や溝を踏破するように、あなたも走り回ることができるのです」。

ピアース氏はダ・ヴィンチ・モビリティー社とチームを組んだが、同社の専務取締役ヴィンス・ロス氏は40年前に自動車事故で脚の自由を失っている。ロス氏によれば、ヘックスホッグの座席移乗装置はきわめて重要だという。他のオフロード車イスでは操縦席に乗り込むのに他人の介助が必要だが、ヘックスホッグなら彼一人でも乗れるからだ。

ロス氏は次のように言う。「これはすごい代物ですよ。行けるなんて思いもしなかった所でも行けるんです。全く車イスに乗ったまま、どうやってもまず行けないはずの所へね」。

ロス氏は、ヘックスホッグは運転も簡単だとも言う。「普通の動力式車イスを動かしたことのある人なら、同じ感覚で操縦できます。ジョイスティックがあるので、前進するなら前へ、バックするなら後ろへ、左なら左へ、右なら右へ倒せばよく、また小型の加速ボタンがありますから、通常速度になったあと、もしもう少しパワーが欲しい、もう少し加速したいと思ったら、加速ボタンを押すんです」。

次ページ50パーセントの急こう配にも対応
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ
伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT