温度差大…地方の自主防災「形骸化」の危機 「災害経験の少ない地域」にどう根付かせるか
阪神大震災では救助された人のうち、自衛隊や消防に助けられたのはわずか2割程度で、残り8割は家族や隣人に助けられたという調査結果もある。
「『自分たちが』という意識がないと」と高尾さん。防災手引書を各戸に配布して勉強会を開き、非常持ち出し袋の共同購入や、地区の運動会で、かまどで米を炊いて振る舞うなど、住民に「防災」を少しずつでも意識付けるようにした。
一方、早くから自主防災組織を立ち上げた地域でも、町内会役員が「当て職」で防災責任者を兼務し、活動実態がなかったり、避難訓練は東日本大震災の震災直後に1回きり、というケースもある。また、数字上は組織率100%でも、実態は「全町で一つ」という自治体もあり、非常時に地域ごとの機動力が発揮できるか疑問もある。
回を重ね、定期的に顔を合わせることが大事
唐津市では震災後、自主防災組織の立ち上げが遅れた分、行政がコーディネーターとなり、訓練計画の策定や防災知識を持ったリーダー育成で組織化を後押ししてきた。
同市沿岸部の大島町自主防災会では、青年団や消防団、町内会女性部や福祉委員を組織に組み込み、責任を分担させることで、担い手の年代の幅を広げ、訓練内容を充実させている。
今月末には10メートルの津波を想定し、高台への避難訓練を行うほか、夏には土砂崩れからの避難、秋には救急救命法の講習と活動は活発。4年目に入った今も住民の参加率は7割を超える。
「最初は住民の間ではやらされ感もつきまとうが、回を重ねることが大事」と安岡一徳会長(74)。住民が定期的に顔を合わせることが、いざという時の「自助」「共助」につながると信じている。
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