温度差大…地方の自主防災「形骸化」の危機 「災害経験の少ない地域」にどう根付かせるか
東日本大震災後、佐賀県内でも地域の自主防災組織の立ち上げが進んでいる。震災直前の2010年度は組織率59・6%と全国平均を大きく下回っていたのが2015年度は81・9%に躍進した。
ただ、「佐賀は安全」というイメージは根強く、いまだに組織化が進まない地域や、発足はしたものの、震災の記憶が薄れるにつれ形骸化している組織も少なくない。災害に備えた「地域の絆」の再構築が急務だ。
自主防災組織は1995年の阪神大震災を教訓に国が結成を促したが、県内では福岡西方沖地震直前の2005年度時点で組織率はわずか7・5%。全国でも下位の状況が長く続き、ようやく全国平均を上回ったのは2015年度のことだ。
「大丈夫さい」…組織率にはまだ濃淡が
「佐賀は災害が少ないという印象に加え、人口千人当たりの消防団員数が全国1位という安心感が、組織化を遅れさせた面もあるのでは」と県消防防災課。
組織率は市町によって濃淡がある。唐津市や伊万里市など11市町で100%を達成しているが、佐賀市は55・6%、杵島郡大町町が44・6%。同郡白石町は17・6%と、最も組織化が遅れている。
「今まで何もなかったけん大丈夫さい」――。震災から1年たったころ、白石町の戸ケ里区長を引き継いだ高尾貞義さん(64)は、自主防災組織を立ち上げようと説明に訪れた先々で、こんな反応に戸惑った。