空前のバター不足から1年、在庫膨張で安売り必至か


 バター品薄で、農林水産省が異例の増産要請を行ったのが約1年前--。たが、今年6月の在庫量は3.3万トンと、昨年6月の2万トンから大幅に増えている。「適正在庫の目安は消費量の2~2.5カ月分」(農畜産業振興機構)と言われる中、5カ月分の在庫を抱える状況だ。空前のバター不足から一転、わずか1年で在庫過剰に転じている。

背景には、牛乳消費の後退がある。3月に乳業メーカーが相次いで牛乳を値上げした影響から、6月の牛乳消費量は9.1%減。余った分は長期保存できる脱脂粉乳とバターに加工されるとあって、3月以降、バター生産量は増えている。

さらに牛乳よりも低価格な加工乳の消費増加も影響している。「(加工乳の)低脂肪乳を生産すると副産物として乳脂肪ができ、これが菓子などに使われる」(関係者)。国産から輸入品に切り替える業者も増えており、業務用は振るわない家庭用でも、安価なマーガリンが安定的に伸びており、「売上高、数量とも前年を下回る」(乳業メーカー)という。

過剰在庫を抱える中、「今年の秋冬にはバターが安売りされるのでは」との声も業界から漏れ始めた。安売りで需給バランスはどこまで改善できるのか。在庫削減に向け、メーカーの試行錯誤が続きそうだ。

(前田佳子 =週刊東洋経済)

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