消費増税先送りと衆院解散の「タイミング」 野党共闘もからみ、早ければ4月に動く
では、どのようなタイミングで先送りを決めるのか。それがまさに、衆参同日選の選択と重なってくるのだ。
8%から10%への引き上げが確定するのは、今年末の2017年度予算編成で消費増税分を盛り込むタイミングだ。そのためには遅くとも10月までには、予定通り実施か先送りかを決めなくてはならない。さらに4月には食料品や新聞の消費税率を8%に据え置くための軽減税率導入に必要な関連法も成立し、スーパーなどのレジ機器の取りかえ作業が始まるため、「2017年4月からの増税はどうなるのか」という問い合わせが財務省などに相次ぐことが予想される。
4月にも先送り宣言、7月衆参同日選シナリオ
そこで、最も早いケースでは、4月早々にも「先送り」を宣言することもあり得る。原油安、中国経済の減速、米国経済の回復の遅れといった「国際経済の変調」を理由に増税の先送りを決め、関連法案を国会に提出する。野党側が「アベノミクスの失敗」と追及するなら、安倍首相は「野党は増税に賛成するのか」と反撃し、場合によっては衆院を解散、7月に参院と同日選で民意を問うというわけだ。
しかし、このシナリオには難点もある。安倍首相は2014年、消費税率の引き上げ延期を理由に解散・総選挙を決断。「税制の見直しを問うのは総選挙の大義名分となる」と主張した。その理屈を再び繰り返し、税率引き上げの先送りを解散の理由にするわけだが、現実はアベノミクスの成果が上がらず、増税ができないことを物語っている。野党がその点を厳しく突くのは明らかだし、格差拡大を含めて経済政策が争点となれば、政府・与党にとって逆風となる可能性は小さくない。
衆参同日選となれば、野党共闘を分断できるという見方があるが、一方で同日選効果による投票率の上昇が自民・公明の与党には必ずしも有利に働くわけではない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら