新聞社は「ソニーの失敗」を笑っていられない

「サイロ化」が成功した組織を蝕んでいく

残念ながら、多くの人が自分の専門分野に固執してしまう。ビジネスでも何でも視野狭窄になってしまう人が多い。ですから、フィナンシャル・タイムズの読者であっても、医者であれば医学界の動向にばかり関心を持っている。エンジニアであれば、工学系のことばかりに関心を持っている。でも、それだけでいいはずはありません。

今の世界はどんどんとつながってきており、まったく別の分野で起きていることが、自分の専門領域に影響を与えることも多い。ですから、物事がいろいろつながっていること、そして常に変容を起こすことをちゃんと理解していなければいけない。さもなければ、未来への準備ができないと思います。

正しいつながりをみせる記事を、私たちが届けることができれば、読者は喜んでお金を払うと思います。ジャーナリストとして私たちがお給料をもらうためには、たくさん買ってもらわないといけません。

――その多様な見方は、おそらく天才ジャーナリストであれば、「1人サイロ化」してもできるのだと思います。しかし、凡庸なジャーナリストにとっては、仲間とのコミュニケーションが大事だっていうことですよね。無理にサイロ化の話につなげますけれども。

まったくそのとおりです。

競争相手は社外にいる

――部門間で足を引っ張ることが悪いのであって、サイロ自体が悪いわけではない、という見方もできます。

もちろん専門家は絶対必要だし、専門家のチームも必要です。私が言いたいのは、その人たちがちゃんと協力しあって一緒に仕事をする関係を作るべきだということ。彼らがお互いに競争をしてしまうことが問題なのです。競争する相手は社外にいるのですから。

たとえば、自動車メーカーの中で、キャブレター部門と排気ガス制御部門とエンジン開発部門が競争ばっかりしていたらどうなるでしょうか。

――自動車メーカーの例では、昨年フォルクスワーゲンの不正がありました。サイロ化と不正発生に相関関係はありますか。

部門がはっきり分かれていると、部門の論理が前面に出てしまい、いわゆる常識といわれているようなことが、まったく通じなくなります。GMのメアリー・バーラCEOはサイロ化がGMの苦境の原因と繰り返し言っています。シートベルト部門で何をしているのかを法務部門が把握できない、ということが生じてしまう。これはGMだけでなく、フォルクスワーゲンやタカタでも起きていることだと思います。

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