新聞社は「ソニーの失敗」を笑っていられない 「サイロ化」が成功した組織を蝕んでいく
その上で、会社のことを考える。従業員のための組織という考えではなく、消費者のための組織という視点で会社を再編したらどうなるかを考えてみる。
もちろん考えるだけでは、ダメです。もっとも重要なことは考えるだけでなく、あえてリスクを冒して挑戦するっていうことです。
――しかし、伝統的な組織は新しい時代に対応できるでしょうか。適切なリーダーがソニーにいれば、今のアップルはなかったと思いますか。
私はそう思います。1999年当時のソニーを思い出すと、アップルよりもはるかに優位に立っていました。ブランド名はすごく認知されていたし、電子部品も素晴らしかった。音楽レーベルも持っているし、コンピュータのバイオもあった。ですから、そのときに正しいことをやっていればアップルは存在できなかったと思います。
実際、ソニーにはアップルのようなことを実現した部門がありました。プレイステーションの部隊は、ソフトウェア、ハードウェア、コンテンツをものすごくうまく収斂できた。そのことを考えても、ソニーは絶対に変わることができたと思います。
「6製品以上作らない」というルール
――今後のアップルはどうなると思いますか。
アップルもほかのテクノロジー会社と同じように、自分自身の成功によって破滅する危険があると思います。過去15年から20年は、スティーブ・ジョブスが非常にダイナミックでクリエイティブな会社として維持してきました。
彼には二つの大きなルールがあって、そのうちの一つは、決して6製品以上を作らないというものだったのです。つまり、新しい作品を思いついてもジョブスは7つめを許さなかった。ところが、ソニーは新製品ばかり出していた。同じようなものを出すのはやめましょうと言い出すことができなかった。
その点、ジョブスは、数多くの製品を損益計算書に立てることを明確に禁止していた。新製品を出すのであれば、落ち目の製品を殺していた。ティム・クックCEOにそれをできるかどうかは疑問です。
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