新聞社は「ソニーの失敗」を笑っていられない

「サイロ化」が成功した組織を蝕んでいく

ジリアン・テット編集長に話を聞いた
フィナンシャル・タイムズ紙アメリカ版編集長のジリアン・テット氏は2000年を挟んだ数年間、記者として不良債権問題に苦しむ日本を取材した経験を持つ。テット氏は『サイロ・エフェクト』で大企業などの組織で働く人々が、”タコツボ”にはまってしまう問題について指摘している。その事例の1つとして日本のソニーも紹介されている。いつの間にか進行していく、”タコツボ"化を防ぐためにはどうすればいいのだろうか。2月下旬に来日したテット氏は「自動車メーカーやメディア企業などはサイロ化している」と警鐘を鳴らす。

 

――『サイロ・エフェクト』では、多くの優良企業がサイロ(気密性に優れた穀物貯蔵庫)のように風通しが悪くなる様子を克明に描いています。

非常に頭のいい人たちが、サイロ化によっておかしなことになってしまう。会社で何が起こっているのかを正確に理解できなくなるのです。その問題を書きたかった。日本では東芝、タカタなどで大きな問題が起きていますが、その背景にもサイロ化がある。

生え抜き幹部の弊害

――日本企業の特性として生え抜き社員が経営幹部を占めていることが多い。雇用の形態とサイロ化にも関係がありそうです。

サイロ化は、日本だけでなく多くの巨大組織が陥る問題です。しかし、その会社の中でしか仕事をしたことない人、特定の部門でしか働いたことがない人ばかりが集まっている企業で問題が起きやすいのは事実でしょう。1つの企業や部門しか知らない人は、どんなに優秀な人であっても視野狭窄に落ち入りやすい。

生え抜きの幹部が部門において権力を掌握すると、過去を踏襲することによって、その権力を維持しようとします。その部門を変えずに維持しようという気持ちが起きてしまうのです。

――ソニーの事例を詳細に書いています。ソニーには偉大な創業者がいました。その創業世代から次の世代に継承するときに発生しがちなトラブルとの見方もできると思います。

ソニーの場合、2人の創業者は非常に自由の意思に富んだ人で、クリエイティブであったと思います。創業の時期も非常に良かった。第2次世界大戦後の経済復興期ですから、年配の管理職がいない中で、構造的に若い人たちが日本をもう1度つくりなおせる時期にいた。戦後の時期は、日本にとってすばらしい時期だったと思います。

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