クロスカンパニー、一部上場前に大胆な決断 「アースミュージック」成功の次に何を狙う

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――今後のM&A予算はどのくらいを想定していますか。

バランスシート上で体力的に持つのが200億円だと考えている。ただ、これから業界再編が進むことを考えると、500億円の資金調達が必要になる。資金調達の手段のひとつとして、年内の上場がある。非上場で200億円、上場で200億~300億円を調達し、合計400億~500億円が投資資金になるだろう。

――「メチャカリ」という、月額5800円(税別)で借り放題のレンタル事業を始めましたが、どういう狙いですか。

簡単にいうと、ユニクロやGAP、H&Mのような日常着がレンタルできるものだ。会員は平均月間7着を借りている。1点単価4000円なので、7点借りている人は2万8000円分。それが月額5800円の負担ですむので、かなり割安感があると思う。レンタルビジネスはCDやDVDではあるが、洋服の日常着では世界的にも例がない。まだ日常着を借りるという社会のリテラシー(活用する能力)がないので、かなり長期的な未来事業として取り組んでいく。めちゃくちゃ借りるということから、メチャカリという名前にした。今後投資をかなりかける、eコマース事業のひとつとしてとらえている。

小売りとレンタルは食い合わない

いしかわ・やすはる●1970年岡山生まれ。94年に4坪のセレクトショップを開業。95年クロスカンパニー設立(本社は岡山)。99年「アース ミュージック&エコロジー」事業を開始、SPA(製造小売業)に転換。MBA取得に向けて京都大学大学院に在学中

――小売りの既存ビジネスとはカニバリしませんか。

ここに面白いデータがある。メチャカリ会員2000人のうち、約65%がこれまで当社で一度も買ったことがない人だ。つまり新規のユーザーを取り込めている。さらに残りの3分の1は両方で買っているが、会員データを見ても、直営売上高は対前年で減っていない。

洋服は1日20点ほど新着があり、会員は新着の写真を毎日見に行く。ネットカタログを見ている感覚だろう。ファッション誌離れしたユーザーがレンタルネットサービスを通じ、ファッションに対する意識が上がる。店頭でも買うし、レンタルもするということが起きている。

さらに面白いデータとしては、50代が有料会員になっているというものだ。娘のために母親が会員になっているのだろう。安めのアパレルチェーン店でしか買ってもらえなかった高校生が、アース ミュージックなどの駅ビル型ブランドを5800円で借り放題できるので、賢い母親なら、安い買い物よりもミドルプライスで借りる方がお得、という視点になっている。

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