クロスカンパニー、一部上場前に大胆な決断 「アースミュージック」成功の次に何を狙う

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サステイナブルな企業にするため、石川社長の最大の仕事は、次のCEOを決めること

――ほかにも小売り以外の周辺事業を強化しています。

川下を伸ばそうという戦略も打っている。本来、アパレルは売ったら終わりだが、われわれが目指しているのは、売った後のケアまでしようというもの。それがクリーニング宅配の会社だ。当社で買った顧客にクリーニングサービスも提供していく。

ビジネスモデルとして参考にしているのは自動車業界。車を売った後に車検や部品の取り替えをしていくのと同じ概念だ。自動車業界に新車ディーラーや中古車ディーラー、レンタル、リースがあるように、われわれも顧客ニーズをさまざまにとらえている。中古車しか買えない所得の人や、レジャーでレンタルを利用する人などにもアプローチする。そのためにもテクノロジーに積極的な投資をしているのが当社の特徴だ。近年ここまで小売り、アパレルで、テクノロジーに投資している会社はないと思う

――全員正社員制度を廃止しました。

2014年までの充足率は85%しかなかった。要因は、全員正社員制度だったので、入りたいパート・アルバイトをシャットアウトしていたからだ。ただ、2015年に全員正社員制度を廃止し、2割のパート枠を設けたところ、多くの方に来てもらった。直近で充足率は95%と高いが、4月に新入社員が入れば、さらに104%まで上がっていく。

ブラック批判に対しては改善した

――ブラック企業という批判も過去には受けましたが。

2013年はあまりに急成長していたため、エリアマネジャーが機能せず、店長にプレッシャーがあった。一部店舗では80時間から100時間の残業があったのは確かだ。ただ、今は改善しており、1カ月の残業時間を8時間以内にしている。さらに産業医やメンタル関連の部署も設置している。

――45歳となりましたが、今後の後継者はどう考えていますか。

23歳で創業して、今まできた。僕が次にやらないといけないことは、事業のサステイナブル(持続的)な構造と、次のCEOを考えることだ。会社が持続するのに最も重要なことは、何度も言うが、R&D。3割をR&Dに充てるというルールは、保守的なCEOが来ても変わらない。僕は国際戦略とテクノロジーに投資を配分しているが、違うCEOがくると、ほとんどM&Aに充てる人も出てくるだろう。ただし、3割を次の成長事業に向けるということは変わらない。これがサステイナブルにつながる。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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