積水ハウスをむしばむ“慢性疾患” 不動産膨張戦略の正念場

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若年購買層獲得に苦戦 高級化路線行き詰まり

苦戦の最大の原因は、ひた走った高級化路線にある。同社の請負戸建て住宅の坪単価は00年1月期の65・7万円から09年1月期の73・1万円へとほぼ右肩上がり。デフレ時代にあって、この路線は通じにくい。

高価格化を進めつつ量も追う--この目標達成の方策がCS向上、つまり高くても顧客を満足させることだった。だがこのシナリオは実質破綻したに等しい。CS向上のカギを握る受注紹介比率が前述のとおり下落の一途をたどっている。

都市部でマンション比率が増え、持ち家では分譲低価格住宅に人気が移るなど、高級持ち家を得意とする積水ハウスに不利な需要変化が生じた。「特に若年齢層が安いモノに飛びついて買うものだから」。和田会長も建売分譲購入が多い、30~40歳代の1次取得層に支持を広げられていない現状を暗に認める。

むろん、若年齢の1次取得層取り込みに手をこまぬいていたわけではない。昨年も価格帯を少し下げ、手薄な地方中心都市の市場開拓を狙い、従来より手頃な価格帯商品を投入した。これまでも折に触れ中価格帯住宅商品を開発・投入してきた経緯はあるが、必ずしも継続的成功を収めてきたとはいえない。

グループの積和不動産が、05年に在来軸組木造住宅販売に本格参入。低価格ミニ分譲住宅で販売を伸ばすパワービルダー対抗策だが、「数年内に500億~600億円の売り上げを目指す」という当初目標からはまだ程遠いのが現状である。

「売った後は知りませんならいくらでも売れるが、それではわれわれの理念に反する」(和田会長)。高級住宅ブランドに傷がつくことへのおそれも、取り組みを中途半端にする。業界関係者は「高級住宅にこだわり、そこが強いだけに、そこから抜け出せないのでは」と見る。野村証券金融経済研究所の福島大輔アナリストは「積水ハウスを含めて大手プレハブメーカーのコストダウン努力不足があった」と手厳しい。

もう一つ期待を寄せるのが「エバーループ」というブランドをつけ、注力する中古住宅再生事業。和田会長自ら社内号令をかけるのに忙しいが、新事業がどれだけ収益貢献できるかとなるといまだ未知数であろう。

面白い話がある。社長就任後の受注紹介比率上昇を見て和田が、「それなら展示場はどうなんだ」と住宅展示場販売の有効性について問題提起した。すると今度は、展示場経由の受注比率が上昇し、その反動で紹介比率が下がった、と関係者は打ち明ける。トップの一言に過敏に反応し、右往左往する営業現場。こうした姿勢が低価格を望む消費者ニーズをくみ取ることのできない、硬直化した企業体質につながっているのかもしれない。

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