積水ハウスをむしばむ“慢性疾患” 不動産膨張戦略の正念場

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来期以降は大阪・御堂筋に建つ本町ガーデンシティを皮切りに大型物件が続々完成する(下表)。テナントを高い賃料で集められれば、4割とも5割ともいわれる売却益を稼ぎ出した、2年前までのバラ色の夢再現となるが現実は厳しい。かつてとは大きな違いがあるからだ。

一つは不動産市況が逆転したこと。08年以前は東京都心部中心の不動産価格上昇の波に乗り、テナントも買い手も好条件でついた。赤坂ガーデンシティを例に取れば、外資ファンドなどへの売却で推定400億~500億円の利益を出せた。が、現在は、不動産価格下落の真っ最中。高騰した都心部ほど下落が大きいことも、一等地中心主義の同社に逆風だ。オフィスビル空室率上昇、賃料下落の負のスパイラルも続いている。

二つ目は仕入れコストの違い。これまでの積水ハウスの売却物件はすべてミニバブル前に安価に仕入れた土地に建設された。赤坂の場合は、大きな評価損を出し簿価が下がっていたことがさらに利益を膨らませた。

一方、今後の完成物件の大半は、ミニバブル期の高値で仕込んだ土地に建つ。本町南ガーデンシティのビル解体費込み購入価格は「周辺相場の2倍ともそれ以上とも」(不動産関係者)といわれる。テナントを高い賃料で集めなくては利益は出せないが、不動産不況が続くとすればそれは可能なのかとなる。

和田会長は「本町も品川もテナントは決まっている」と周囲の不安説を一蹴する。確かに品川・御殿山プロジェクトではIT企業のTISが賃貸オフィス一棟(C棟)の賃借を発表、本町でも「岩谷産業がキーテナントで入居する」との不動産関係者の声がある。ただこれで安心ではない。肝心のテナント賃料が当初想定より低ければ空室は防げてもビル利回りは下がり、短期売却の出口戦略も狂う。推定総事業費1500億円の御殿山プロジェクトでは、国内貸しビル最大級の基準フロア面積を誇るメインオフィスビル(A棟)のテナントが依然未定。東京・日本橋地区並みの賃料(月坪5万円)が可能と目されていた時期もあるが、この不況下ではそれも当面絶望的。

 

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