積水ハウスをむしばむ“慢性疾患” 不動産膨張戦略の正念場
積水ハウスが業績急落に苦しんでいる。2007年1月期に営業利益1115億円と過去最高を更新、翌期も1000億円の大台を維持したが、前期は3割減の739億円になり、今期も390億円に続落する。
世界大不況直撃もあるが、不振の原因はむしろ会社内部にある。
まず主力事業の“慢性疾患”だ。業界トップの鉄骨プレハブ住宅など、戸建て住宅事業の土台が長く静かにむしばまれ続けているのだ。和田勇・現会長兼CEOが前職の社長に就いた1998年4月以来の数字でも明白だ。
戸建て住宅・賃貸アパート建設請負の工業化住宅請負セグメントの営業利益は00年1月期をピークに前期までほぼ一貫して低下している。
社長就任後真っ先に和田は市場シェア10%獲得の目標をブチ上げた。その実現に向けCS(顧客満足度)向上を掲げ、戸建て住宅受注件数に占める顧客からの紹介比率(受注紹介比率)を70%にまで引き上げると大号令をかけた。「紹介販売こそが顧客からの通信簿」という思いを込めてである。だが、03年1月期の55・7%を頂点に、直近の35・3%へと下落が止まらない。
賃貸アパートを含む全住宅販売戸数も23%減少。高級賃貸アパートに力を注ぎ、数量を犠牲にした部分があるとはいえ、市場シェアは漸減。社長就任時の和田の目標の半分にも満たない。