積水ハウスをむしばむ“慢性疾患” 不動産膨張戦略の正念場
ミニバブルはじけ逆回転 都市再開発が足かせに
不動産関連事業の急落も大きい。安定成長が続く不動産賃貸はいいが、問題は不動産販売だ。07年1月期529億円、08年1月期577億円あった不動産販売事業の営業利益は前期332億円へと急減、今期は50億円、6年前の水準に逆戻りする。
不動産販売事業拡大の間に、主力の工業化住宅請負事業を立て直す--。「積水ハウスはこの最大の課題を解決できなかった」と前出の福島アナリストは指摘する。
いわゆるミニバブルに乗って不動産販売事業は躍進したが、その間の主力事業の立て直しに失敗した。08年以降はミニバブルがはじけて歯車が逆回転、今度は不動産販売が業績の足かせになるおそれが出ている。
建売戸建て住宅や分譲マンションは、ご多分に漏れず販売価格高騰があだになり、販売不振と在庫増加の真っただ中にある。売り上げも前期に急減、今期も予断を許さない。
そして業界関係者がかたずをのんで見守るのが、同社の収益急回復を牽引してきた都市再開発事業の行方。
都市再開発事業の売上高は06年1月期386億円、07年1月期792億円、08年1月期753億円と順調に推移。だが09年1月期は599億円に減少、今期は物件端境期で17億円とほぼゼロに近づく。ここだけの営業利益は未公開だが、「売却も笑いが止まらない状況だった」と和田会長も言うとおり、過去数年の不動産販売事業の大半を稼ぎ出していた可能性が高い。この売り上げがなくなるのだから収益には手痛い。今期不動産販売事業の営業利益が50億円に急減する主因はここにある。