積水ハウスをむしばむ“慢性疾患” 不動産膨張戦略の正念場

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テナントや売却先として大きな力になった外資、ファンド勢の需要も“蒸発”した。「東京の品川・大崎地区は御殿山プロジェクト完成の11年に向けオフィスビルの大量供給が予定されている」(前出の福島アナリスト)との指摘もある。

ミニバブルがはじけ“裸の実力”が問われることになる。07年12月完成し、前期売却予定が先延べになって話題を呼んだ台場のビルは、今年5月に太平洋セメント本社が入居したが、今も上の3フロアが空室。売却済みだが赤坂のビルも19階のうち5フロアが空いた歯抜け状態だ。

販売用棚卸しが5年で2・6倍に

都市再開発事業を加速した05年以降の5年間で、分譲住宅向けも含む販売用棚卸しは約4500億円増え、09年1月末現在、7378億円に積み上がった。その土地購入は地価高騰のピーク08年1月期が3006億円と最多。しかも品川など大型物件完成に向けビル建設費分はこれから上積みになる。将来の都市再開発用地に前期買った名古屋鴻池ビルなどは、いったん賃貸用事業(固定資産)に計上されており、販売用棚卸しには含まれていない。その分も含めれば実態はこの金額以上になる。

社長就任早々の00年1月期に2165億円、02年1月期に1355億円の販売用不動産評価損を出したのは誰あろう和田会長だ。その社長就任時のバランスシート上の販売用棚卸しは5283億円。現在はこれより2000億円以上も膨らんでいる。和田会長が言う「身の丈の規模」が守られているのかどうか。過去の手痛い失敗を糧にし、積水ハウスの不動産事業は進化を遂げられたのか。それとも同じ過ちを繰り返すのか。総資産1・4兆円弱の半分以上を占める棚卸しの本当の価値は、そう遠くない時期に明らかになる。


(大西富士男 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)
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