なぜハーバード生に「日本旅」が人気なのか? 例年、予約枠が争奪戦になるワケ

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佐藤:今年の5月に卒業ですが、卒業後はどんな仕事をされるのでしょうか。

ヴォンク:ニューヨークに戻って、プライベート・エクイティの会社で働く予定です。

佐藤:日本企業の事例や日本で学んだことは、どのように役立ちそうでしょうか。

ヴォンク:それは面白い質問ですね。そういえば、ちゃんと考えたことなかったですね。まず言えるのは、三木谷さんをはじめ、日本企業のCEOにお会いして、彼らから直に学んだリーダーシップは、今後、自分の会社を経営するときに非常に役に立つと思います。

世界の国々のつながりを実感

京都を訪れたシャノンさんたち

それから、中国と日本を研修旅行で訪れて、世界の国々がどれだけ密接につながっているのかを直に感じることができました。地球の裏側の国同士だってつながっているのです。今後、どんな仕事に就いていても、世界は繋がっているのだ、という認識を持って、グローバル戦略を立てることが必要だ、と思いました。

それと同時に文化の違いを尊重することの大切さも学びました。それぞれの国には、それぞれ独自の文化やルールがあります。文化が違うからといって、こちらの文化を押し付けてはいけないのです。そうやって初めて、お互いにとってメリットのあるビジネス関係を結ぶことができるのだと思いました。

佐藤:ヴォンクさんが日本から多くのことを学んでくださって、大変うれしく思います。

ヴォンク:それから、絶対に忘れてはならないのが、日本人留学生から学んだ「組織力」です。

日本人の同級生たちはどれほどのエネルギーと時間をジャパン・トレックに注いだことでしょう。日本ツアーはすべてにおいて完璧でした。どうやったら私たちに日本の本質的なすばらしさを伝えられるかというのを、夜も寝ずに真剣に考えてくれました。

旅行中、私たちは、毎朝7時頃に起きて深夜に寝るというスケジュールでしたが、日本人の幹事団は準備のために私たちよりも先に起きて、後に寝る毎日でした。旅行がスムーズに進むように、細かいところまですべて計画してくれて、私たちはただその完璧さに驚くばかりでした。毎晩、毎晩、最高のレストランを予約してくれて、しかも、いくつものレストランの中から好きなところを選べるようにしてくれる。こんな旅行がどこにあるでしょうか。

このような周到な準備と組織力は、ほかの研修旅行にはないものだと思います。日本人学生が私たちのために一生に一度の最高の日本体験を用意してくれる。だからこそ、ジャパン・トレックはずっとハーバードで人気があるのだと思います。

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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