なぜハーバード生に「日本旅」が人気なのか? 例年、予約枠が争奪戦になるワケ
ヴォンク:私は原爆ドームなどの歴史的な建造物にも感銘を受けましたが、広島という都市の美しさにもまた魅了されたのです。原爆投下後、広島の人々は力を合わせて、美しい街をつくりあげたんだ、と思いました。広島滞在中、川沿いをランニングをしたり、公園を散策したりしたのですが、本当に美しい都市でした。
楽天訪問では三木谷社長にも会った
佐藤:ジャパン・トレックでは楽天を訪問されました。1年生のときにリーダーシップの授業で、楽天の社内英語公用語化の事例を学んだそうですが、実際に訪れてみてどんな印象をもちましたか。
ヴォンク:楽天では三木谷浩史社長をはじめ、役員の方々とお会いすることができました。全員で輪になって座り、幅広いトピックについて意見交換をしましたが、楽天の皆さんはとても流暢な英語を話していました。
佐藤:ということは、英語公用語化の成果を直に知ることができたわけですね。
ヴォンク:ほかの企業を訪問したときは、経営者の方が日本語で話したのを英語に通訳するという形でしたが、楽天では、最初から最後まで英語でしたよ。日本では珍しい体験でした。
佐藤:トヨタ、ホンダ、JALなど、ほかにも必修授業で習う日本の事例はありますが、楽天のケースが最も興味深かったのはなぜでしょうか。
ヴォンク:リーダーが強い信念と情熱を持てば、大きな変革を起こすことができる、ということを私たちに教えてくれたケースだったからです。英語を母国としない国の企業で、CEOが全社の公用語を英語に変えてしまうなんて、何て急進的なリーダーシップだろうと思いました。私たちは授業で世界中の企業の事例を学びますが、非常にユニークな事例だと感じました。
佐藤:ジャパン・トレックに参加して、日本に対する見方は変わりましたか。
ヴォンク:私は昨年1月に中国の研修旅行にも参加したので、正直なところ、日本へ行く前は、同じアジアの国に2回も行く必要があるのかと思っていたのです。中国と日本って結構似ているんじゃないかと。でも実際に日本を訪問してみたら、中国とは全く違った国であることがわかりました。
東京の街には、アメリカのような大きなゴミバケツは置いていないですよね(筆者注:ニューヨークなどの都市には、人々が道端にゴミを捨てないように公共のゴミバケツがたくさん置いてある)。それなのに街はチリひとつ落ちていないぐらい清潔ですよね。日本人の方々は時間にも正確ですし、とても親切です。それから、日本の鉄道システムには驚くことばかりでした。時刻表どおりに運行し、スピードも速く、車両も最新鋭。アメリカの公共交通システムは日本ほど優れていませんので、このシステムはぜひ日本から学ぶべきだと思いました。
ジャパン・トレックで、私は日本という国は尊敬すべき国だとあらためて感じました。おそらくハーバード在学中の2年間で、最高の1週間だったのではないかと思います。卒業後もぜひ日本に行きたいです。
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