揺れる日本興亜損保、大株主、OBが批判

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統合目前で現体制に異論 12月の臨時総会が焦点

今年初め、業界2位の三井住友海上グループホールディングスと、あいおい損保(同4位)、ニッセイ同和損保(同6位)の統合が明らかになった。にわかに勃発した業界再編の流れから、3月に業界5位の日本興亜は損保ジャパン(同3位)との経営統合を決めている。この実現に向けて、7月中にも発表される統合比率など具体的な計画内容が大きなポイントになる。さらに12月に開催される臨時株主総会で、3分の2以上の賛成を得なければならない。

重要な“関所”が待ち構える中、兵頭体制は盤石とは言い難い。同社の筆頭株主で米投資ファンドのサウスイースタン・アセット・マネジメント(持ち株比率約17%)は、昨年に続き今年も兵頭社長の再任に、「反対」の意向を表明しているからだ。

今回の総会に出席したある株主も「元役員から指摘されていた保険金の支払いの先送り問題など、ガバナンスにも問題があるのではないか」と話す。経営統合以前に、筆頭株主やOBから批判される兵頭社長のトップとしての手腕に、疑問を抱くようになった株主は少なくない。

そして何より株主総会の場であらわになった前社長との激しい確執。「なぜこれほどまで争っているのか」「松澤さんは会長を事実上更迭されたことを恨んでいるのか」--。関係者らの疑問や憶測は尽きない。

こうした疑問に対して、兵頭社長は「(松澤前会長の退任は)取締役会で決定した役員定年制導入によるもの。ほかの原因はいっさいない。関係悪化というよりは、OBとして会社をサポートしていただく立場であるにもかかわらず、このような事態となっていることは残念」。さらに、保険金支払いの先送り問題(監査役会の調査では不適切な事実はないとした)も「特定のOB株主からの指摘は意図的であり、ガバナンスの問題とは異なる」と説明する。

また、松澤氏とのやり取りだけでなく、今回の株主総会では株主からの質問や提案のほとんどが途中で打ち切られた。混乱はあったものの、総会は1時間40分で終了している。「図らずも当社OB株主からの質問が集中し、円滑な運営が阻害されてしまった。簡潔な質問にしていただくように促したが、あの場面での対応はやむをえなかったと考えている」(兵頭社長)。

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