(第22回)現状を打破する変革人材の採用・育成のすすめ(後編)

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●変革人材かどうかを見極める選考プロセスを設計する

 変革人材が保有している能力を大きく3つに分けると、「高い目標意識」「思考力」「行動力」となる。目標意識は変革を促す起爆剤となるのに必要だし、思考力は効率よく目的地につけるようコントロールすることを可能にし、行動力は活動のエネルギーとなる。
 3つすべてを保有する人材を採用することが望ましいが、2つでも保有していれば変革の中心となるのに十分な素養を持っていると言える。残りの一つは優秀なサポート役がつくか、後で経験を通じて伸ばすこともできる。1つしか保有していないメンバーは変革のサポート役となることは可能だが、成長には時間がかかる。現段階では変革人材とは言えないだろう。

 それぞれの能力の見極め方だが、「高い目標意識」「行動力」は、選考を受ける段階で何らかの形となって産み出されている可能性が高い。サークルをつくる、インターンシップで成果を生み出す、論文大会で賞をもらったなど。目標意識が行動として表れ、結果につながっているかどうかで判断できる。

 「思考力」は、選考途中にレポートを書かせることをおすすめする。多角的な視点でものごとを見ることができるか、客観的な事実を元にロジックを積み上げることができるかどうかを見る。また、過去に体験した問題解決のエピソードを聞き、「効率性」「仕組み化」を重視しながら活動していたのであれば、これも「思考力」の発現と捉えることができるだろう。
 現代は、入試方法も多様になり、適性検査も十分対策できるようになってきているので、学校名やテストの点数だけで「思考力」を評価するのは危険だ。もちろん、対策もしてこない人は論外なので、足きり程度の効果はあるが、やはり本物を見抜くには、過去の体験・エピソードと工夫したレポートから判断するのが望ましいだろう。

●現代の「恐竜」とならないために

 優秀な人材を採用するのは本当に難しくなったと思う。
 小回りが利かず、意志決定に時間がかかる企業であればなおさらだ。

 3億年前~7000万年前に栄華を誇った「恐竜」がなぜ、絶滅したかご存じだろうか。隕石の衝突による寒冷化説が有力であるが、それは外部的な要因に過ぎない。

 恐竜が一匹残らず絶滅した、別の原因は恐竜の内部構造にあったといわれる。変温動物である弱点を補うために2億年かけて進化させてきた「大型化」と大型化に伴う「長寿命」が、隕石の衝突による環境変化の影響を何倍にも増幅させてしまった。長寿命であったが故に、進化のスピードが当時小動物であったほ乳類の何十倍も遅かった。結果、環境の激変に適応できず、絶滅してしまった。

 業績が悪化している企業もあるだろう。ただ、その悪化による原因を外部に求めているだけであれば、企業の存続はままならない。いつも、真に重要な問題は自らの内部にある。そして、内部をかえることができるのもまた、内部のものだけだ。
 このコラムを読んでくださった方一人ひとりが、属する組織の「変革人材」となり組織の進化と変革を促す旗手となることを切に願っている。
福井信英(ふくい・のぶひで)
慶應義塾大学在籍中にジョブウェブと出会い、インターンシップ生として働き始める。
大学卒業と同時に(株)日本エル・シー・エーに就職。経営コンサルタントとして、学校法人のコンサルティングに取り組んだことをきっかけに、2003年3月に(株)ジョブウェブに転職。
現在、新卒事業部の事業部長として、企業の採用活動のコンサルティングや学生を対象とした各種リサーチ、教育研修コンテンツの作成に取り組む。
1977年生まれ。富山県出身。
福井 信英

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