実はマイナス金利政策の導入で消費は減る

代替効果より所得効果のほうが大きい

さて、経済学の基本に戻って教科書の説明と比べて考え直してみよう。人々が、現在と将来の間でどのような資金計画を考えるのかということは、現在と将来の間で生活費をどう配分するかということで、リンゴとミカンの間でお金をどう配分するかという経済学の教科書の最初に出てくる問題と同じだ。

結論は常識的で、リンゴの値段がミカンに対して安くなれば、安くなったリンゴの消費を増やして、高くなったミカンの消費を減らすべきだ。これは代替効果と呼ばれている。

金利が下がれば消費を増やす=代替効果

金利がゼロの場合は、ミカンが1個100円でリンゴが1個100円の場合と同じように、今の100円は貯蓄していても将来100円にしかならない。ミカンとリンゴの交換比率を示す直線Aと効用曲線が接する点Xで消費するのが最善だ。

金利が上昇して今100円貯蓄すると将来は110円になるということは、現在の100円(ミカン1個)でより多く将来支出できる(1個より多くリンゴが買える)ことになる。

直線Bはリンゴの値段が下がったときの交換比率を示しているが、この場合は接点Yで消費するのが最善だ。金利が上昇すれば、リンゴ(将来の消費)を増やして、ミカン(現在の消費)を減らすのが合理的だということになる。逆に金利が低下(リンゴが値上がり)したときには、リンゴ(将来の消費)を減らして、ミカンの消費(現在の支出)を増やすべきだ。

この説明からすると、老後生活の計画のように、「金利が下がったときに、現在の支出を切り詰め」て、「金利が上がったときに、現在の支出を拡大」するというのは一見奇妙な行動に見える。

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