新設相次ぐ有力私大付属、大学合格実績で存在感示すが、ブランド力の見極めも必要《本当に強い中高一貫校》

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 大学進学を保証してくれる付属、提携の中高一貫校は、受験生や保護者側のニーズも高い。特に、大学合格率(進学者数/入学志願者数)が低かった1980年代から90年代前半に受験を経験した世代が30歳代後半から40歳代となり、中学生の親の年代に差しかかった。「わが子に、あの苦労を味わわせたくない」という思いが、付属校人気に拍車をかける。

早稲田の名前だけでは生徒は集まらない

だが、そうした親の思いと大学の思惑とは微妙にすれ違う。付属・系列校となった私立の中高一貫校が、有名大学のブランドを得たにもかかわらず、実は生徒集めに苦戦している原因もそこにある。

今春、早稲田大学系属校として再出発した摂陵中学・高校。中学の昨年の定員充足率は3分の2、高校は4分の3程度と定員割れしており、早稲田ブランドで起死回生を図るはずだった。ところが、今年の入試は、中学定員140人に対し、志願者185人、合格者63人、入学者はさらに減って20人だ。高校はさらに深刻で、普通科定員245人に対し、受験者29人、合格者は27人(1次)。追加募集でも入学者は確保できず、結局、高校の入学者は11人にとどまった。

早稲田大系属校となって入試レベルが引き上げられたが、系属の中身はというと、大学推薦枠は高校の募集定員245人の6分の1に当たる40人しかない。同じ系属校である早稲田実業が長い歴史の中で、推薦枠を徐々に増やしてきたという経緯を知る大学、学校関係者にとって、スタートから40人の推薦枠は「破格」。だが、受験生やその親から見れば、小さな枠でしかない。期待される大学への入学保証を欠いては、早稲田ブランドといえども機能しなかった。

もちろん、早稲田側にも考えはある。付属の早稲田大学高等学院や系属の早稲田実業は早稲田大にほぼ全入だが、同じ系属でも早稲田中学・高校は半数程度の推薦枠しかない。残りは東大、京大、一橋大といった国公立のほか、慶應、そして早稲田にも受験で進学する。付属校と進学校の二つの顔を持つことで、付属校にありがちな中だるみを心配しなくても、大学側は質の高い生徒を確保できる。

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