新設相次ぐ有力私大付属、大学合格実績で存在感示すが、ブランド力の見極めも必要《本当に強い中高一貫校》
また、古代からアジアへの玄関口だった唐津の特色を生かし、帰国生、留学生の受け入れなど国際色も出す。土曜日に授業を行う一方、平日は6時間授業とし、放課後を長くとって部活動にも力を入れる。人口減に悩む地元、唐津市も早稲田の中高で活性化を図ろうと、唐津城を間近に望む元県立唐津東高校の跡地を貸与するなど全面支援する。溝上氏は「学問の独立、進取の大隈精神を持ち、失敗を恐れずにチャレンジする生徒を育てたい。半数が内部推薦というメリットを生かし、頑張らなければ推薦枠に入れないという緊張感の中にも、受験一色に終わらない魅力ある学校生活を送れる学校にする」と話す。受験生や親はそうしたビジョンをどう評価するのか--。来春の入試で、その答えは出る。
大学付属化を契機に共学化する女子校も
少子化に伴う生徒減の影響を最も大きく受けているのは、中堅クラスの私立中高一貫校だ。公立中学・高校は統廃合できても、私立はそうはいかない。6年間の中高一貫教育の徹底、受験特化で人気になった例もあるが、乗り遅れた私立校の中には定員割れに陥り、大学の付属校として生き残りを懸けるところもある。早稲田摂陵の前身、摂陵中高はそんな学校の一つだ。大学付属校になる苦しみを、他の私立中高一貫校も同様に味わっている。
中央大学の付属校化を決めた横浜山手女子中学・高校は来年、中央大学横浜山手中学・高校に名称変更する。2011年には正式に付属化し、校舎移転、改築も視野に入れて共学化(11年目標)の準備も進めている。
今春の中学入試は、志願者も前年比4・4倍の600人(受験者296人)、合格者も「付属化をにらんで入試のレベルを引き上げた」(伊藤公孝校長)にもかかわらず、昨年の2・5倍の142人に増加した。
中央大学への推薦枠はまだ協議中で、同校の田中好一理事は「6~7割程度の生徒が中央大に入学できるよう目指すという目標しかなかったにもかかわらず、受験生が可能性に懸けてくれた」と分析する。