「普通の人」が会社を辞めずに収入を得る時代

年収300万円時代を生き抜く「マイクロ起業」

休日を利用して予防医学の講座に通い始めた中野さん。そこで学んだ内容を家族に話してみると、体の不調を訴えていた母親が徐々に健康を取り戻し、おまけに減量にも成功。中野さんはここで1つのアイデアを思い浮かべる。体の不調が出始める母親世代の50歳前後の女性たちにとって「健康に痩せるダイエット方法」はニーズがあるのではいないか……。

早速知人を中心に呼びかけて勉強会を企画した。すると少数だが、5人の受講者が集まった。興味を持った何人かは、中野さんのマンツーマンのダイエットプログラムに参加を決めた。中野さんはたった2時間で、看護師として激務をこなして稼いだ1カ月分の給与を上回る稼ぎを手に入れていた。

金融機関勤務の女性が一転、人気セミナー講師に

東京・神谷町の金融機関に勤めていた30代OLの横澤有季さん。昼はバリバリ働くキャリアウーマンで、夜は帰宅する夫のために食事を作る。毎日が充実していた。ある時、キャリアアップのため社会保険労務士の資格取得を決意。少ないすきま時間をやりくりしながら難関資格にチャレンジし、わずか9カ月で見事合格を果たした。

このときの体験をブログで書きつづっていくうちにアクセスが伸び、難関資格を目指す受験生たちからの相談が来るようになった。その頃から、都内を中心に展開する勉強カフェから、難関資格の合格法というテーマでセミナーの依頼も入るようになった。今現在は会社を辞め、難関資格取得のセミナー講師兼アドバイザーとして活躍中だ。

自分自身が持っている知識や経験が商品に

以前は副業といえば、FXや投資信託、不動産投資などの「資産運用系」か、ヤフーオークションや転売、アフィリエイトなどの「ネットビジネス系」が主流だった。しかし今では、自分の持っている知識や情報、経験、資格や技術などをもとにした「コンテンツビジネス系」も増え始めている。

ガジェット系ブログで人気ブロガーになった井上さんや、ワインアドバイザーとして活躍する佐藤さんもこれに当たる。また、ダイエットトレーナーの中野さんや学習法アドバイザーの小澤さんのように、得意分野のアドバイザーを行うコンサルタント業を始める人も多い。

ほかにも、コーチングの資格を取得して副業コーチとして活動する人、心理カウンセラーやセラピストとしてブログで情報を発信する人、フィットネスクラブでパーソナルトレーナーとして勤務しながら自身でもHPを開設し、独自に顧客を開拓する人、Webデザインを独学で習得し、フリーランスで活躍するWebデザイナーなど、コンテンツ系ビジネスでマイクロ起業をしている人は劇的に増えているのである。

その背景としては、この先人口が減少し、高齢化が加速し、大きな経済成長は見込めないことが大きいと筆者は考えている。

先行きの見えない時代、会社や所属組織からの収入ばかりを当てにしていることにリスクを感じる人は、確実に増えつつある。自ら稼ぐ力を欲している人は、潜在的に見ると相当多いのではないかと思われる。そこで、次回のコラムでは、マイクロ起業家として「個人が稼ぐ力」を磨くためのヒントについて取り上げていく。

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