婚活攻防「頭の良い女」vs.「顔の良い女」 東京の「婚活事情」最前線<7>

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「男の人たちは前もって私のブログとかSNSを知ってて、水着の写真をその場で開いて同じポーズしてとか言うんですよ。理美が前もって教えてたんです。しかも、安っぽい居酒屋で、2000円も払わされたんですよ」

真理子は被害者のように供述する。

モデル仲間であれば、食事に連れていかれた先が居酒屋で、まして会計を要求されることなど絶対にないという。

「一流企業に勤めてるってエラそうに言うけど、クリエイティブな世界にいる私からしたら、ただのつまらない失礼な男たちですよ。だってみんな同じような仕事してるだけでしょ。モデルの仕事を馬鹿にするけど、時給にしたら私の方が全然良いですからね」

一見口下手な女は、一度調子に乗ると止まらなくなることが多い。

「理美みたいな普通の子って、あんな男の人にお世辞言ってご機嫌とって、それでお金まで払わなきゃいけないんですね。むしろそれが女なのに稼いでてカッコいいと思ってるみたい。たぶん自分の生活を自慢したくて開いた会なんでしょうけど、私はそんなの願い下げです」

興奮した真理子は、溜まったものを吐き出している。しかし、これを本人に直接言うことはできないようだ。

「もちろん私も、もっと楽しいパーティとか誘うんですよ。なのに理美って、行くって言っておいて、当日になると『何だっけそれ? 今日だっけ? 忘れてた行けないや』とか、わざとらしくドタキャンするんです。理美だって飾ればそれなりに可愛いんだから、もっと要領よく女を楽しめばいいのに」

反発し合う二人の女。なぜ友情を続けようとするのか

二人の女は、ここまで反発し合いながら、なぜ一緒にいようとするのだろうか。

ひとつだけ明らかなことは、少なくとも今はまだ、この二人はお互いが好きなのだ。だからこそ、無駄な干渉をしたり苛立ったりするのだろう。腹を立てられるというのはまだ健全なことだ。

ただ、お互いの成長と環境の変化をきちんと受け入れることができない。

頭の良い女と、顔の良い女。二人はすでに、女として違う生き方しかできない。

特性の違う二人の女は年齢を重ねるほど、同じ種類の人生を同じように歩むことは現実として難しい。仕事、恋愛、結婚、出産……特に都会では、女たちが日常的に一緒の時間を過ごすには、これらの質やタイミングが似ていないといけない。それによって、生活レベルも、生活スタイルも、住む場所も変わってくるのだ。

この女たちは、30代になっても同じように時間を過ごせるだろうか? きっと無理だと思う。友情が続いていたとしても、会う頻度や会話は減っていくだろう。思春期にはなかった価値観の違いや格差というものは、残酷に深い友情を切り裂いていく。

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