婚活攻防「頭の良い女」vs.「顔の良い女」 東京の「婚活事情」最前線<7>

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二人はお嬢様校として有名な都内の高校で出会い、もう10年近く友情が続いているという。出席番号が前後でたまたまお互い実家も近く、そこそこ裕福な家庭環境で育ったことで共通点も多く、すぐに仲良くなったという。

褒め合う二人は何でも話せる親友だと言い合うが、その空気は少し無理に仲良しを演じているような、最初からわずかな違和感があった。というのも、二人は同じ種類の女では全くないからだ。

対照的な二人の女

高校が同じとはいえ、理美は受験に失敗し滑り止めであるこの女子高に入学したが、大学は再度受験し慶応に入学、今は大手IT企業に就職した。艶々とカールしたショートボブが印象的な今どきの女ではあるが、顔はどちらかと言うと地味で目立つタイプではない。ただ、知的さと愛嬌を持ち合わせた性格と上手なメイクのおかげで、理美単体で見れば可愛らしい女に見えなくもない。

一方、真理子はとにかく美しい外見をしている。高校時代からその美貌は有名だったようで、当時からモデル事務所に所属していた。高校卒業後は同じ大学に進学し、大学卒業後はモデル活動一本の生活。大学時代は雑誌の専属モデルで表紙を飾ったこともあったが、今は一線を退き広告やブランドモデルなどを引き受けている。それでもそれなりの生計は立てられるという。

一見、二人はなぜ長いこと友情が続いているのかわからないほど違うタイプの女だが、理美は世話好きでリーダーシップを取るような性格、そして真理子はその後ろからホイホイとついていくのに抵抗のない性格をしており、また趣味なども合い、単に相性が良いようだった。

コミュニケーション能力が高く人脈も広い理美は、昔から真理子を多くの場所に連れ出し自慢するのが好きだった。勉強に興味のない真理子のテストや宿題の手伝いなどもよくしていたと言う。そして人見知りの真理子も、理美といることによって魅力を発揮しどこへ行っても楽しい時間が過ごせていたらしい。そんな二人をまるでタレントとそのマネージャーのようだったという同級生もいる。

「でも、真理ちゃんはそろそろ本当に結婚前提の彼氏を見つけないとね。私は結婚に興味ないし、貯金もしてるしキャリアもあるからいいんだけど、真理ちゃんの将来が本当に心配なの」

理美はまるで姉のような口調で言う。話題が恋愛に変わると、二人の間の空気は明らかにピリピリと緊張感を帯びた。

「こんなに綺麗なんだから、はやく今のうちに良い人と結婚しないとダメ。真理ちゃんの今の仕事って、普通の安定志向の男の人には理解してもらいにくい部分もあるじゃない。だからね、若さと美貌を武器に女は早くいい人を見つけないと。私、真理ちゃんのために言ってるんですよ。私と違って安定した収入もないし、はやく結婚した方が絶対良いんだから。そう思いませんか?」

やたらと主張する理美の傍ら真理子を見やると、話を完全に無視してテーブルの下でスマホをいじっている。

「私は自分のことは適当に上手くやるけど、真理ちゃんはいつもフラフラしてて、彼氏ができても顔だけ良いモデルの女々しい男だったり、怪しいおじさんだったり。もっと現実を見て堅実な人を探さないと」

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