【産業天気図・食品・飲料】食品・飲料業界の頭上にしつこい雨雲。「内食回帰」は追い風だが…
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
不況ははたして追い風となるか。食品・飲料業界の今2010年3月期は不況による「内食回帰」や原材料安が追い風となっている企業が多い一方で、前期までの原材料高に伴う値上げが招いた需要減に直面する企業もあるなど、吉凶混合の様相だ。ひとまず雨が上がったとはいえ、食品の中でも売れ行き好調なのはレトルト食品や加工食品とごく一部。頭上にどんよりとした雨雲がひしめいている状況に変わりはない。
不況を背景に、家で食事をする人が増える「内食回帰」や原材料安で息を吹き返すのが、調味料や加工食品関連企業だ。
ハウス食品<2810>では、主力のカレールウこそ伸び悩むものの、スパイス類やレトルトカレーなどが好調で、今10年3月期は連続増益を目指す。前09年3月期は大幅減益となった味の素<2802>も、国内では和風だしの「ほんだし」の需要が上向く一方で、原材料価格が一服することが奏功する。海外は円高の影響で収益が目減りとなるものの、今期は一転増益となる見通しだ。
また、日清ホールディングス<2897>も、主力のカップ麺だけでなく、袋麺の需要も好調で、今10年3月期売上高は前期比8.7%増となる見通しだ。年金関連の費用増から営業利益は前期比減となる公算だが、需要面では「カップヌードル」の低カロリータイプなど、昨今の健康志向対応製品を増やしたこともあって当面は堅調といえそうだ。
一方、ビール業界も明暗入り交じった状況だ。
若年層のビール離れや不況などを背景に、ビール系飲料の総需要自体は落ち込んでいるうえ、今09年12月期は税制改正による減価償却負担増などもあり、アサヒビール<2502>、キリンホールディングス<2503>、サッポロホールディングス<2501>の大手3社とも前期比減益となる公算だ。