ショコラ界の"超一流"、小山進の「頭の中」 世界一になった52歳がここまでやる!

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子どもたちには、大人がカッコイイ背中を見せなきゃ。見本を見せる、これは最も大切だし、僕はそれをやり続けたいと思っています。

そのために必要なのは、何歳になっても、自分が熱中するような楽しい遊びごとを用意しておくということです。それがないと人は熱中し続けられない。

僕の場合は、ケーキからショコラの世界に行き、これからカカオの世界に飛び込もうとしています。職業でいうと、パティシエからショコラティエになり、今後、カカオティエや、ひいてはクーベルチュリエを目指していくということです。

――どういう違いがあるのですか?

呼称は自己申告制だし、定義はありませんが、僕が思っているカカオティエというのは、カカオの産地のことに深い興味を抱き、日本に直接は入ってきていない原料を求めてそこに向かっている人のことだと認識しています。クーベルチュリエはもっと先祖代々から、カカオや産地とダイレクトにかかわっている人のことだと思っていて、到底、僕には名乗れない。でもそういう人を目指して努力し、いずれはこういった道にも足を踏み入れたいという願望でいうと、僕はカカオティエでいたいし、まずはそこに入れるように努力したいと思っています。

――具体的な目の前の「目標」はなんですか?

チョコレートを口にした際、その味覚をすらすらと表現できるようになることです。これはジャスミンの香りが1.5で、森の湿ったコケの香りが2とか、複雑な味わいを”官能表現”できるようにならないといけない。あとは、種を食べただけで、でき上がるチョコレートの味がわかる、とか、そういう世界を目指しています。

たとえば今、1キログラムの卵液を5つ用意して、それぞれに違う分量の砂糖を入れたとします。それを泡立てて手を入れたら、僕は、どれが何グラムの砂糖が入った卵か、わかります。ほかの人にしてみたらすごいことかもしれませんが、毎日やっている僕からしてみれば簡単な話。カカオの世界における、そんな感覚を磨いていきたいですね。だから、今年は森に行って、細かな香りをかぎ分けられるように特訓しようかな(笑)。

*****

本人に会ったことはないが「矢沢永吉」みたいな人だった。あふれんばかりの情熱とロック魂で、話が途切れない。小山ワールド全開で、圧倒されてしまった。スイーツ界にとどまらず、畑違いの他業界からの講演依頼が後を絶たないのもわかる。

ハイパフォーマンスで走り続けるコツは、心と体のバランスと話してくれたが、絶対的な「自信」がそれを支えている、とも思った。現状に甘んじず、自分が知らないことを知らないと言い、勉強し続けるからこそ生まれる「自信」。決してアイデアだけで、世界の頂点を獲ったのではないことがわかる。

昨日の自分よりも今日の自分。日々成長し、過去の自分を凌駕するという強い意志が、彼の原動力だ。バレンタインを超えると、来シーズンの作品づくりに入る。次なる一手はなんだろう。ショコラ好きはもちろんのこと、今の自分を変えたい、現状を打破したいと考えているビジネスマンも、小山進から目が離せない。(=敬称略=)

伊澤 佑美 「週刊?!イザワの目」編集長

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いざわ ゆみ

2003年上智大学卒業。編集者、ライター、PRプランナーとして、企業のオウンドメディア運営やコンサルティングのほか、広報業界向けメディアへの寄稿などを手掛けている。トレンドの裏側を取材する「週刊?!イザワの目」編集長も務める。

 

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