ソフトキーボードには「最適配列」が必要だ 物理キーと同じではこんなにも使いにくい!

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たしかに、物理キーと同じである方が配列はわかりやすいだろう。特に数字や記号入力では、モード切り換えがあると戸惑う。しかし冷静に考えれば、記号入力は全体の何パーセントだろうか? 誤入力しやすい配列よりも、誤入力は少なく、一部の文字入力に手間がかかる、というスタイルの方が、実は全体効率は上がるはずだ。

iPad Proとおおむね同じスクリーンサイズとなったSurface Pro 4だが、標準設定のソフトキーボードは、キー数を増やさない、小さな画面のものと同じタイプになっている。ただし設定を変えれば、こちらも物理キー準拠の配列を使うことができる。まあこれは、OS側が規定しているものであり、マイクロソフトといえど、自社ハードに特化して設定をいじる、といったことは行っていない。

Windows 10の標準ソフトキーボード。キー数が少なく、小さなサイズから大きなサイズまで同じ設定で使えるものだ
設定を変えると、物理キーに合わせた配列にもできる。こちらの場合、Surface Pro 4クラスのサイズがないと使いづらいだろう

そろそろ最適な配列を開発して!

またあまり知られていないが、Windowsのソフトキーボードは「Ctrl」キーを組み合わせた「キーボードショートカット」も使える。過去のWindowsアプリでの操作性と統一するための措置だが、たしかに悪くない。

筆者は、「ソフトキーボードは数を減らすべし」と言いたいわけではない。人によっては、物理キーと同じであることを望む場合があってもいいし、理解もできる。

だが、ここらでそろそろ「QWERTY形式ソフトキーボードに最適な配列」が見つかってもいい頃だ。また、フリック入力に慣れた人向けには、タブレットでもフリック入力が使えるべきである。この辺、どうもディスプレイサイズの大型化にかまけて、両社とも真剣な検討を重ねていないのではないか、とも思える。

「結局タブレットでも物理キーがないと話になりません」というのでは、単なる先祖返りでしまらない話だ。板状であること、場所をとらないことには美点があるのも間違いない。その美点を生かす、特に日本語環境などでも快適さをスポイルしない、きちんと考慮されたソフトキーボード配列があるべきなのだ。

それをやるべきは、オリジナルタブレットを積極的に開発している、アップルやマイクロソフトなのではないか、と期待もしたくなるし、その義務を負っている、とすら、筆者は考えている。

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西田 宗千佳 フリージャーナリスト

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にしだ むねちか / Munechika Nishida

得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、『アエラ』『週刊朝日』『週刊現代』『週刊東洋経済』『プレジデント』朝日新聞デジタル、AV WatchASCIIi.jpなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。著書に『ソニーとアップル』(朝日新聞出版)、『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』(講談社)、『スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場』(アスキー新書)、『形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組 』『電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ』『iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』(すべてエンターブレイン)、『リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ』(TAC出版)、『知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?』(共著、徳間書店)、『災害時 ケータイ&ネット活用BOOK 「つながらない!」とき、どうするか?』(共著、朝日新聞出版)などがある。

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