妻はモラハラ夫にどこまで耐えるべきか 過度な従順は相手を増長させる

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これは私の年代(60代後半)の例ですので旧いですが、このような問題はさほど時代に左右されないと思われます。私の親しい友人だけでも3人が、ある日突然、暴君夫に反旗を翻した事件を紹介します。

別の県に住み、時期も10年前や20年前とさまざまですので、彼女たちが相談してそうしたのではありません。いずれも忠犬か家僕のような妻が、ある日突然、窮鼠が猫を噛むように、気づいたら「暴君に噛みついていた」という事例です。

彼女たちの被虐待内容は、それぞれ違うように見えて実はよく似ています。あなたのように、食事のたびに機嫌が悪くなる夫の場合、これは毎日のことなので、息が抜けなかったようです。味付けにもうるさいのですが、献立に一品が足らないだけで不機嫌になり、席を立つのだそうです。自分を軽く扱ったというわけです。友人は、メインディッシュで文句がつくならまだしもと半ば怯え、お料理を楽しいと思ったことがないそうです。

ことごとく妻とその親を侮蔑

別のケースでは、妻が里帰りしたり友人と会うことを、夫が極端に嫌った事例です。その妻の後からの述懐ですが、夫の親兄弟はそれぞれに仲が悪く、ケンカが絶えない家族でした。夫はそのことで、自分が妻から見下げられないよう、逆に妻に厳しく当たったようでした。

近所でも評判の妻の両親のアラを作り上げ、「お前の家族もたいしたことはない」と、ことごとく妻とその親を侮蔑したそうです。どれも的外れなもので、そんな解釈ができること自体、彼女には驚きでしたがその勢いに押され、いつも反論できずドキドキして聞いていたといいます。夫婦の上下関係は、このようにして出来上がりました。

いずれも共通しているのは、妻を叱責したり支配することで、自分の優位性を示せていると勘違いしていることです。家庭はつねに、夫のしかめっ面が支配しています。妻のミスや欠点に大袈裟に失望して見せ、激怒します。海辺のバーベキューで妻が爪楊枝を入れ忘れただけで、お肉や野菜を忘れたかのような無能呼ばわりをし、同行者をあきれさせたこともあったとか。「この結婚は失敗だった」とちらつかせるのも同じです。

これらの夫が似ていた点は、外づらがとても良いのです。そして機嫌が良いときは飛び切り良いので、妻が精神的虐待に気づくのが遅れ、その助長に手を貸しています。自分が扶養しているという意味で、間違いなく自分より弱い立場の妻にしか偉そうにできない、気の小さい人物という点でも共通しています。

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