異色の介護施設「みちのく荘」、団塊世代の介護を見据えた新たな挑戦

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人事・労務管理に気を配り、職員の働き甲斐を高める

こうした経営努力とセットで、人事制度や労務管理の方針も明確に打ち出している。

同法人では、転勤を伴う正職員は50%、転勤を伴わない準職員は10%、臨時・パート職員など40%で、ほとんどがフルタイムで働く。年に1回正職員登用試験を実施している。各部署で課長の推薦があった非正規職員が対象となる。常勤パート職員の時給は650~1200円で、A~D段階の査定によって、時給が変わる仕組みとなる。

正職員も昇給表や資格手当ては明示し、人事考課のための上司との面接は年4回行っている。昇格・降格人事は大胆で、課長から主任に降格もすれば、敗者復活もあるため職員には緊張感がある。

女性職員への配慮も手厚い。介護保険制度がスタートした2000年以降に就職した職員は今、まさに結婚・出産適齢期。ところが、日本医療労働組合連合会の調査によれば、介護職で妊娠を経験した女性の4人に1人が切迫流産しているという実態だ。人手不足から妊娠しても業務軽減や夜勤が免除されないケースが後を絶たないからだ。

そうした「職場流産」を避けるため、同法人では女性職員の妊娠がわかれば夜勤は必ず免除している。妊娠中の職員が担当する業務は、周囲の職員も覚えてサポートする体制が整っている。金谷デイサービスセンターには育児室が設けられ、現在妊娠中の職員が利用者第1号となる予定だ。

介護職員、そして人生の最期を過ごす利用者のためにも、国はこうした法人が増加するよう環境を整備しなければならない。

 


こばやし・みき
株式新聞社、毎日新聞社エコノミスト編集部を経てフリージャーナリストに。日本労働ペンクラブ、農政ジャーナリストの会会員

(東洋経済オンライン)

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