日本株急落を「中国経済低迷」のせいにするな 真の原因の追及なしに株価回復はない

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仮に中国の景気減速が本当に日本の成長の問題における主因であるなら、中国のGDP伸び率と日本からの輸入に強い相関関係が確認できるはずだ。しかし、ここ数年を見ると、実際それほどの相関関係はない。

ではなぜ、中国が景気減速しても、日本の輸出はさほど悪影響を受けないのか。その答えは、日本から中国への輸出で最も大きな部分を占めるのが、中国が輸出する製品の材料や部品だという事実にある。

実際、過去20年間の日本から中国への輸出品と、中国から米国への輸出品は、約7割が関連しているといわれる。日本の輸出全体に占める米国向けの割合は1990年には33%だったが、2015年には20%まで縮小した。このため多くの人は、日本経済の対米依存度が低下したと考えている。

中国のせいにするのは簡単だが

しかし、日本が米国に販売するものの多くは、「日本製」のラベルが貼られたコンテナに入れられて直接届けられるのではない。そうではなく、まず中国に送られてその後組み立てられ、「中国製」と銘打った製品の一部として米国に届けられるのだ。

典型例は、米アップルのアイフォーンに搭載されている東芝製のフラッシュメモリだろう。アイフォーンは台湾企業のフォックスコンが中国で組み立てを行い、米国に輸出しているからだ。

 日本の株価低迷を中国のせいにするのは好都合かもしれないが、それは単に自国が必要な手段を講じることができなかった代わりの理由づけをしているに過ぎない。問題解決の第一歩は、真の原因を特定することなのだ。

週刊東洋経済1月30日号

リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。著書に『The Contest for Japan's Economic Future: Entrepreneurs vs. Corporate Giants 』(日本語翻訳版発売予定)

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