それは中国の官僚たちには予見しきれなかった展開だった。中国の株式市場では、新年最初の取引日である1月4日に、株価が7%余り下落。この日に導入されたばかりのサーキットブレーカー(株価急落時の取引中止措置)がさっそく発動され、午後1時半すぎにすべての取引が打ち切られた。
ところが、株価下落時に株を売れないことに投資家は狼狽し、パニック的な売りがさらに下げ足を速めることに。1月7日に再び発動されたサーキットブレーカーは、この日をもって運用を停止されることになってしまった。
上海総合指数はまだ高過ぎる
この制度が導入されたのは株式の需給が大きく崩れることが予想されていたためだ。中国の株価は2015年6月に直近ピークをつけた後で3度にわたり急落(左図)。世界の資本市場に「中国ショック」と呼ばれる動揺が広がった。
混乱のさなかの7月8日、中国政府は上場企業の大株主や経営幹部に、持ち株の売却を6カ月禁じると決定。禁令が明ける今年1月8日には、売りが殺到する懸念があった。サーキットブレーカーはそうした動きに先手を打ったものだが、投資家心理の反応は官僚の計算を超えた。
1月14日に上海総合指数は昨年来安値を割り込んだが、その水準ですら当局の有形無形の介入によって支えられたものである。中国株の専門家の間には、中国の株価について、「適正なPER(株価収益率)を10倍とすれば、上海総合指数で2500ポイント前後が実力値」との評価がある。ちょっとしたニュースが出るたびに株価が乱高下するという構図はまだ続くはずだ。
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