新年早々の株安を招いた最大の要因は、人民元安が急速に進んでいることである。
人民元は2005年以降、複数通貨によるバスケットを参考に当局が基準値を決め、一定の幅での変動を認めてきた。とはいえ、基準値の算定プロセスは不透明で、実質的にはドルペッグに近かった。
ドルに対する人民元の上昇を抑えるため、中国の当局は元売りドル買いの介入を繰り返した。その結果、中国の外貨準備は、ピーク時で4兆ドルに迫るほど積み上がった。
止まらない人民元安
しかし、中国経済の減速が明らかになるにつれ、市場の期待は元高から元安に切り替わる。2015年8月には、基準値の算定方法を見直すと同時に、その水準を大幅に切り下げた。国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に人民元を加えることを目指していた中国は、IMFの勧告に従う形でドルペッグをやめたのだ。
これは市場の実勢と基準値の乖離を解消させる切り下げだったが、足元ではオフショア(中国本土外)市場が主導する格好で元安が進んでいる。
人民元は2009年までオンショア(中国本土内)だけで取引されてきたが、その後は香港など、オフショアでの人民元決済が徐々に認められるようになった。オフショア市場には、中国の規制が及ばず、値幅変動の制限もない。
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