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日本で2016年の年明けから続く株式相場の下落について、報道機関や金融機関の多くは、中国の景気減速が背景だとの受け止め方をしている。しかし、その経済学的な根拠はほとんどない。背景にあるのは日本の低成長であり、収入の伸び悩みに起因する消費の停滞である。実際、2015年11月まで3カ月間の実質消費支出は、1年前のそれと変わっていない。
確かに中国経済の減速に影響を受けている日本企業は多い。たとえばトヨタ自動車やパナソニックは中国での自動車や家電製品の消費拡大を見込み、中国国内に工場を建設してきた。そうした企業の株価が下落していることは事実だ。
しかし、それは日本のGDP(国内総生産)に大きく影響を与えるものではない。中国の景気が減速し、日本から中国への輸出が激減すれば別だが、そうはなっていない。15年11月までの3カ月間、日本の海外向け実質輸出は前年同期比3・8%減で、同期間の中国への輸出は同3・5%減と、全体からすると大差は無かった。
製品自体がダメだと円安効果も限定的
疑問として浮かぶのは、過去3年間で3割以上も円安に振れていながら、日本の海外輸出が中国向けに限らず、なぜ依然として停滞しているのかという点だ。答えは単純に日本企業の競争力低下にある。
コンピュータやスマートフォンなどの市場で、国際競争力を持つ日本製品は今や見当たらない。1993年時点で先進工業国の海外輸出のうち、日本は12%のシェアを有していたが、現在は6%にまで半減した。一方で米国のそれは16%と、1993年時点と変わっていない。
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