中国のアフリカ経済支援は「壮大な実験」だ

労働者をどんどん送り込み、半端ない存在感

似ているところはまだある。住環境をきれいに維持することができないのもそうだ。大声でがなり立てる人が多く、自己中心的で人の迷惑を省みない人も目に付く。もしかしたら、似た者同士で「近親憎悪」のような感情があるのかもしれない。

鄧小平「先富論」の実現か、新興国クラブか

経済発展を遂げた中国が、アフリカを巻き込んで新しい国際的仕組みを作ることは、鄧小平が中国で実行した経済改革を、世界的規模で実行しようとしていると見ることが出来る。改革・開放政策の基本原則を示した「先富論」は鄧小平理論とも言われるが、これは、「先に豊かになれる者から豊かになれ、そして落伍したものを助けよ」という考え方である。中国は最貧国のアフリカ諸国を助けることで世界貢献をしつつあるというのだろうが、私に言わせると、中国とアフリカが「新興国クラブ」を作ろうとしているように見えてならない。

その前に、鄧小平の「先富論」が中国で本当に成功したのかといえば、そうは都合よくいってはいない。確かに中国の沿岸地域の経済発展は目覚ましい。しかし、内陸部の貧しさは何も変わっていないばかりか、貧富の差による嫉妬や妬みが社会問題になっている。「落伍した者」を助けよといっても13億人の9割以上が貧困なのだから、助けるにも限界がある。農民籍の貧困層が北京や上海に雪崩れ込んでくることは、混乱を招くばかりか「不平や不満」が共産党批判につながりかねない。デモや騒乱事件は年間には20万件も起こっているとの情報もある。

中国人の爆買いツアーが盛況の一方で、貧困層のサバイバルゲームもある。中国による壮大な実験と挑戦は、いったいどうなっていくのだろうか。

矛盾に満ちたアフリカ支援の行く先

さて、最後に中国がアフリカにまで政治・経済的な触手を拡大している理由をまとめよう。

資源の確保とともに、中国の「安物製品」を販売する市場の開発をするという側面、そして労働力を送り込むことで貧困層の食い扶持を減らし、影響力(もしくは支配力)を強めるといった狙いが挙げられる。実は、これらのことは、ウイグルやチベットに漢民族を送り込むのと同じ発想である。アフリカに中国人労働者を送り込んでいるスピードは信じられないほどだ。中国が投資した路面電車の運転手も、建築現場の労働者も中国人ばかりである。農村戸籍の労働者(大半は農民)にとって、アフリカで国営企業関連の仕事につくのは、千載一遇のチャンスなのである。

現時点では中国とアフリカの関係は持ちつ持たれつで利害が一致するからいいのだが、いずれ中国が成熟社会になったとき(もしくは共産党政権に変化がある時)にはどうなるか。あるいは、アフリカの一部の国が成熟社会になったときにはどうなのか。多くの問題点をはらみながらも、中国は矛盾に満ちたアフリカ支援を止めようとはしないだろう。

次回は、日本がアフリカとどのように付き合っていけばいいのかを考察したい。

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