ニュースを制する拡散インフラはどこなのか Facebook、Apple、Google「頂上決戦」の行方
上図はBuzzFeedのデータブログから引用した。「犬の飼い主によくある31の特別な感情(31 Special Feelings That Every Dog Owner Is Familiar With)」という投稿が、いかに時間差で世界に拡散していくかを同社データサイエンティストのアニタ・ムロートラ氏が分析したものだ。
「犬の飼い主に~」は最初、2015年2月初旬にニューヨークで掲載。同じ英語圏の英国、シンガポール、豪州、インドには2日以内に到達し、バズが起きた。ほぼ同じタイミングでフランス語に翻訳されたが、フランスでは不調。しかし、2月下旬ポルトガル語、スペイン語に翻訳され、欧州の両国だけでなく、好調なブラジルを含む南米で拡散した。記事のリーチは北米、南米、欧州、豪州、東南アジア、インドという広さだ。
とはいえ、メディアにとって必ずしも恩恵だけがあるわけではない。トラフィック面でFacebook依存が深まると、自社サイトの管理力を失うことになる。さらに、Facebookがネット広告事業を着々と育てる一方、メディアは紙を失い、デジタルでもがくことになり、収益性はもろいままだ。
デバイスを持たないのが弱み
若年層を中心に情報消費の主体はモバイルに集中し始めている。新興国、途上国で「爆発」が起きており、2020年には世界人口の8割(約50億人)がスマートフォンを保有するとの予測がある。新興国では幅広い年齢層がデスクトップを経由せずモバイルではじめてインターネットに出会うのだ。
ここへの一手が、ニュースプラットフォーム「Instant Articles(IA)」だ。IAはモバイルに注力した、「通常のモバイルWebの十倍速く記事を読める」サービス。Facebook内にメディアの配信インフラを整え、それを提供する代わりに広告料を折半する。つまり、Facebookはコンテンツ消費と媒体の広告ビジネスを自社プラットフォーム内に囲い込もうと目論んでいるわけだ。
IAは2015年12月までに北米のほか、中韓台香、インド、東南アジア、オセアニアでサービスが活用されている。このアジア太平洋地域は人口30億人超、世界経済で最も伸びている地域だ。Facebookは同様のモバイル向けニュースプラットフォームを展開しようとするGoogle、Appleにリードしているかに見える。