ニュースを制する拡散インフラはどこなのか Facebook、Apple、Google「頂上決戦」の行方

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「Top Knot」に先立って、2015年夏にBuzzFeedは、レシピ動画ブランド「Tasty」をリリースしていた。こちらも類を見ないほど成功した「Facebookメディア」になった。2015年10月時点でFacebookページの「いいね」数は1800万超、ページビューは累計12億だ。Facebookページビュー数で姉妹メディアの「BuzzFeed Food」と「BuzzFeed Video」も3位、4位とその背中を追いかけるが、両者のビュー数を足しても「Tasty」のそれには届かない(参考:ビジネスインサイダー)。

20〜60代まで万遍ない利用者層を持つ日本最大のレシピサイト「クックパッド」のレシピ動画(下動画)と比較すると、「Tasty」は若者に焦点を絞って制作されていることがわかる。

なにしろ「Tasty」はスマートフォン最適化を徹底。そのままタテ方向で視聴しやすい正方形に近い形だ。それに対して「クックパッド」は、これまでの標準にならって「16:9」の規格を採用している。

「クックパッド」が採用する旧来の規格だと、スマホで見やすく視聴するには、全画面表示させた後に、スマホをヨコに倒さなくてはいけない。このたった2行程の追加すら敬遠されかねないのが、スマホ時代だ。

ちなみに「Tasty」と「TopKnot」の共通点は、早送りで数十秒から最長でも3分ほどでハウツーを伝えることだ。主要オーディエンスであるミレニアル世代(16~35歳)、ジェネレーションZ(15歳~)は短尺動画を好む。

動画共有アプリ「Vine」のビデオはわずか6秒。動画をパッと観て、すぐさまほかのコンテンツに飛び移るという動きを彼らは繰り返しているのだ。

Facebookへの過重投資ではないのか?

ここで、なぜBuzzFeedはそこまでFacebookに入れ込むのか、という疑問が持ち上がる。

分散型メディア(Distributed Media)の戦略としては、プラットフォーム側が提示する条件が難しくなく、それぞれの配信が干渉し合わない限り、より多くのプラットフォームに自社コンテンツを流通させるほうがいい(分散型メディアに関しては、スマートニュース執行役員の藤村厚夫氏のブログに詳しい)。

逆に、ひとつのプラットフォームとだけ取引することは、メディア側の交渉力を弱くする。メディアはテクノロジーとプラットフォームとの折衝に精通した人物がのどから手が出るほど欲しいのが現状だ。このため、「Top Knot」や「Tasty」などの「Facebook一点張り」は極めてリスキーに思える。

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