「畳の上で死ねない人」のための棺桶があった アイデア次第で伝統産業は息を吹き返す

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地震や天候不順でお年寄りが体育館などに避難されます。テレビでもよく見る光景です。でも体育館だと下は板張りで、隔てもありません。冷たいし、落ち着きません。

そこでこのセットの出番です。畳を袋から出して広げ、段ボールで周囲を囲えば、避難所での個室スペースが作れます。「災害備蓄用畳セット」です。長期間避難する場合など、被災者には何よりの贈り物です。

究極の逸品は、棺桶用畳!

日本人は畳の上で死にたい!と言います。しかし実際は、病院のベッドの上で死んで、そこから自宅に搬送されるのが現実です。それならせめて、遺体を畳の上に寝かせてあげよう。そんな遺族の気持ちに寄り添って作られたのが、棺桶の下に敷く葬祭用「おくりたたみ」です。

天然い草を使用、ビニールで密封して、納棺時に畳の香りを演出する、という細やかな心配りもされています。背面には、「おくりことば」という記入スペースも用意して、故人へのメッセージが書けるようにもなっています。前年比3割増し、年間6万枚を売り上げました。いま1番の売れ筋商品です。

値段はオープン価格ということで、なかなか教えてもらえません。でも、畳付きオプションで1万円とすると、棺桶畳だけで年間6億円を売り上げている勘定です。

現在、年間100万人を超える人が亡くなっていると言われます。これから団塊の世代が亡くなる時期になると、この棺桶用畳の市場は一気に広がると思われます。成熟産業と思われる畳だって、ちょっと発想を変えれば、まだまだ市場はいっぱい。成長産業なのです。

このほかにも、「掘りごたつ用畳」、「床暖房畳」など多彩なラインナップをそろえています。この手のアイデア畳は全部で30種類以上。年間売り上げで全社売り上げの1割近くを占めるまでに成長してきました。

そして本業の産業機械分野でも、アイデア畳で培われたチャレンジ精神が生かされています。

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