タイで沸騰!「日本旅」番組が超人気のワケ 佐野さんは、タイで今もっとも有名な日本人

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佐野さんが年末に日本で取材をしたという最新作は、東京・箱根をめぐる“鉄道の旅”。成田空港から入って、東京観光をしながら箱根の温泉まで行くというルートで、京成電鉄、東京メトロ、小田急電鉄と鉄道3社が合同で協力しているという。

電車で旅をする個人旅行者に向けた企画だ。外国人旅行者向けのレイルパスはJRがメイン。それに追随する私鉄もアピールしたいところなのだろう。

インバウンドを考えたホームページが足りない!

インバウンド需要がある今、波に乗りたい日本の観光地は少なくない。いったいどうすれば、タイ人旅行客に来てもらえるのだろうか。

「今、日本に足りていないと感じるものは、外国人観光客向けのホームページです。英語のページは増えてきているのですが、来月○○という祭りがあります、というような更新記事が1カ月前に出ていたりする。

外国人観光客はもっと前から日本旅行の日程を決めているので、直前にアップされたところで対応できません。官民を問わず、まだまだ国内向けに情報を出している印象がありますね。

ただ、中途採用でタイ語を話せる公務員も出てきているし、力を入れている自治体は結果も出ています。アピール次第で、もっと観光客が急増する場所はまだあると思います」

第一の母国は日本、そして第二の母国はタイだと言い切る佐野さんが目指すもの。それは、旅行のレベルを超えて、両国が文化交流していくこと。

それがご自身の使命だと思っていますか?と尋ねると、控えめな答えが返ってきた。

「使命感なんて大げさなものではなくて、自分が今やるべき仕事なのかなって思っています。せっかくタイ人が日本の文化を知りたがってくれているならば、自分が正しく伝えていこう、と。文化交流の最初のきっかけは、いつの時代も旅だと思うんです。だからこそ、もっと多くのタイ人に日本に来てもらいたいですね」

両国の架け橋となる旅番組『すごいジャパン』。ナビゲーターの佐野さんが2016年に取り上げたい地域は、中国・山陰地方と東北地方。そして、タイ人の間でブームになりつつある、日本の温泉だという。

佐野さんの後をタイ人観光客が追いかけていく、そんな展開が今後も続いていくのかもしれない。

藤村 美里 TVディレクター、ライター

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ふじむら みさと / Misato Fujimura

都立国分寺高校、早稲田大学卒業後、テレビ局入社。報道情報番組やドキュメンタリー番組でディレクターを務める。2008年に女児出産後、視点が180度変わり、児童虐待・保育問題・周産期医療・不妊医療などを母親の視点で取材。2013年に退社し、海外と東京を往復しながらフリーで仕事を続けている。Twitter @MisatoFujimura 

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