朝ドラ「エール」凄惨な戦地の描写に透ける覚悟 天才作曲家・古関裕而を描く為に逃げられない
「裕一の戦後の生き方が決まる大事な週」
「これまでの朝ドラでは描かれなかった、朝から気が重くなるような戦場のシーンがたくさん出てきますが、こういう経験を経たからこそ、裕一の戦後の生き方が決まる大事な週だと思っています。週の最後に戦後パートの重要な人物であります池田(菊田一夫をモデルにした劇作家)が登場するということで、戦後の部分にも期待していただける回になったと思っています」。土屋さんはこう語る。
朝ドラは女性主人公が多い。そのため戦場が直接描かれることは少ない。女性は戦場で戦う男たちを見送り、空襲や疎開や国防婦人会の活動などを体験しながらその帰りを待つ。
戦場体験が描かれたのは男性主人公の「ゲゲゲの女房」(2010年)。主人公(向井理)の回想という形で戦地の苦労が描かれたのと、「ひよっこ」(2017年)で主人公(有村架純)の叔父(峯田和伸)がインパール作戦に参加したことが長台詞で語られた。
「エール」では回想ではなく、主人公が今、体験していることとして描いており、その衝撃は大きい。
この週の脚本と演出を手掛けたのは吉田照幸。「エール」のチーフ演出家である。
「戦場をどこまで描くか。古山裕一の生き方において逃げられないからやる」と吉田さんは意気込みを語った。
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