「お酒は少量なら健康に良い」はウソだった? 「海外一流誌」の最新論文をどう読むか
「お酒は1日1杯程度なら健康に良い」という説と、「お酒は少しであっても体に悪いから控えるべき」という説の両方を耳にして、いったいどちらを信じればいいのかと悩んでいる人も多いのではないだろうか。
最新の膨大な研究論文をもとに、科学的根拠に裏付けされた「食の常識」を伝える『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』を上梓したUCLA助教授の津川友介氏に、お酒は少量であっても体に悪いのか、科学的根拠をもとに解説してもらう。
『ランセット』誌に掲載されたお酒の論文の衝撃
2018年8月23日に世界的権威のある医学雑誌『ランセット』誌に掲載された1本の論文が世界に衝撃を与えた。それまでは少量であれば健康に良いが過量になると悪影響があると考えられていたアルコールが、たとえ少量でも健康に悪いという報告であったからである。
アメリカのガイドラインでは、アルコールは女性なら1日1杯、男性なら1日2杯以下におさえることが推奨されている。
イギリスでは、性別にかかわらずアルコールは(ワイン換算で)1日2杯までに抑えるべきだとされている。
今回の研究を受けて、アルコールに関する常識は変わるのだろうか?
なぜこのように結論が一貫していないように見えるかというと、アルコールは少量であれば動脈硬化によって起こる病気(脳梗塞や心筋梗塞)のリスクを下げるものの、がんに関しては少量でもリスクを高めるからである。
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