しかし、90年代初頭から20数年間まったくと言っていいほど伸びていないわが国のGDPを、高齢化がますます進展する中で伸ばすことは、至難の業です。そのためにも、抜本的な経済改革が必要ですが、それができるかどうかに注目が必要です。簡単なことでないのは明らかです。
チェックポイント④ 日本国債の格付けが下がる
最後のポイントは、日本国債の格付けです。2014年12月、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債の格付けを「Aa3」から「A1」に1段階格下げしました。これは上から5番目の格付けで、G7先進国の中では「Baa2」をつけているイタリアに次いで低いものです。
国債の格付けは何を示すかというと、「政府が借金を返済できるか」という信用力です。日本国債の格付けが下がったのは、同年10月に行われる予定だった消費税率10%への増税が延期されたことで、「財政赤字の削減目標が達成できないのではないか」との見方が強まったからでした。さらには、ここまで述べてきた三つの要因などを加味して決定していると考えられます。
日銀の異次元緩和はカンフル剤
では、国債の格付けが下がると、どのようなことが起こるのでしょうか。
国債の格付けが引き下げられるということは、日本の信用が低下するということです。すると、国債の価格が下落しますし、同時に金利が上昇します。信用リスクが大きくなったわけですから、その分、金利(利回り)を高くしないと国債の買い手がつかないからです。ところが、金利が上がれば国債の利払い費も増えてしまいますから、財政赤字がますます膨らみます。このような理由から、格付けが下がると財政の悪化に拍車がかかり、破綻の可能性が高まってしまうのです。
現在は、日銀が「異次元緩和」によって異常なまでに国債を買っている(買い支えている)ので、この問題は顕在化していません。しかし、先にも述べたように、いつまでも「異次元」を続けるのは難しいでしょう。あくまでもカンフル剤です。
以上の4つの指標は、日本の財政の先行きやハイパーインフレの兆候を見極めるために、考察しておかなければならない重要なポイントです。
結局のところ、日本の財政は安定的な経済成長が続かない限り、悪化の一途をたどることは間違いありません。では、持続的な経済成長をするためには何が必要か。金融政策や公共投資などの経済政策よりも、本物の「成長戦略」が求められていると思いますが、先にも述べたように、これはなかなか簡単なことではないことは、過去20数年間を見ても明らかです。
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