財政破綻のきっかけを暗示する4つの指標 破綻を避けるには「本物の成長戦略」が不可欠

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金利が0.3%程度と極端に低いのは、日銀が国債を大量に買い入れているからで、そのタガが外れると、金利が一気に跳ね上がる可能性もあります。その場合、既発債の価格も下がり、さらに金融市場が不安定化するといった懸念もあります。それが、金融危機を引き起こす引き金にもなりかねません。

チェックポイント③ 財政赤字が膨らみ続ける

三つめは、名目GDP比での財政赤字残高です。繰り返しになりますが、今、日本は名目GDP比で200兆円を超える財政赤字を抱えています。それがどこまで膨らんだときに財政破綻を迎えるかは分かりませんが、このままでは財政赤字は増えていく一方です。

そこで今、政府は「2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)をバランスさせる」という目標を掲げています。基礎的財政収支とは、政府の一般会計予算のうち、国債費に関係する収支を除いた収支のことです。

具体的にどういうものでしょうか。国債費の内訳は、出ていくお金が「国債の利払い」と「国債の償還」です。一方、入ってくるお金は「国債を発行することによる収入」です。この双方を除いた予算、つまり、税収などによる収入と、国債費以外の一般的な支出が均衡するかどうかを見るのが、プライマリーバランスです。

名目GDP600兆円の目標は至難の業

財政の悪化を食い止めるため、政府は過去にも何度かバランスさせようとしたことがありました。小泉純一郎内閣の頃には「2011年度にはバランスさせる」という目標を立てていましたが、2008年にリーマンショックが起こったことで達成が難しくなり、再び目標が見直されたのです。ただ、現在の「2020年度にバランスさせる」という目標も、大方の予測では達成は不可能だろうと言われています。

ここで気をつけていただきたいのは、プライマリーバランスがバランスしたからといって、財政赤字残高が減少するわけではないということです。プライマリーバランスを均衡させることは、財政改善の大切な一歩ですが、すぐには抜本的な解決には至らないという認識が必要です。

また、2020年によしんば目標が達成できたとしても、超高齢化が進む現状、その数年後からはさらに財政が悪化していくという意見もあります。2015年現在で人口の26.7%が65歳以上の高齢者であり、その数字も年々上昇していくわけです。財政赤字の問題は深刻さの度合いを深めていくことは間違いありません。

政府は、アベノミクスの「新3本の矢」のひとつに「2020年に名目GDPを600兆円にする」という目標を立てています。現状約500兆円の名目GDPが600兆円になれば、対名目GDP比での国債残高も下がりますし、国民生活もGDP増加により豊かになりますから大変望ましいことです。

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