価値が下がらないマンションの意外な「秘策」 「パークシティ溝の口」の住民が変わったワケ

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「パークシティ溝の口」は駅から徒歩5分と立地にも恵まれているが、近年は居住者の高齢化が問題となっていた

築年数を重ねても資産価値が下がらないマンションがある。立地や設備に恵まれているから、と言ってしまえばそれまでだが、もう一つ、住民のマンションや地域に対する「情熱」がマンションの価値を左右する例も少なくない。

「マンション化率」という言葉を知っているだろうか。ある自治体の全世帯数に占める分譲マンション戸数の割合を示すもので、不動産専門のデータバンク「東京カンテイ」が算出しており、2015年調査で見ると東京23区では3.3世帯に1世帯がマンションに住んでいることになっている。

これだけでもマンション居住者の割合の多さに驚かされるが、さらに行政区別に見ていくと東京都千代田区、中央区、港区の、いわゆる都心三区では1.2~1.3世帯に1世帯がマンション住民。また、この数値は東京に限らず、首都圏はもちろん、関西圏その他の都市圏で年々増加を続けている。都市ではマンション住民を抜きに街は語れなくなっているわけだ。

管理組合活動には誰も消極的

だが、当の住民が住まいの外に関心を持っているかというとはなはだ心もとない。地域に関与する手前に、マンションには管理組合という資産管理団体とも言うべき存在があるが、それにすら関与したくないという人が少なくないのである。

国土交通省では5年に一度マンション管理に関する施策の効果検証、将来必要な施策を検討するため、マンションの管理状況、マンション居住者の管理に対する意識を「マンション総合調査」として調査。平成25年度調査で管理組合運営における将来への不安として挙がったのは「区分所有者の高齢化」(57.0%)と最も多かったものの、それに次ぐのは「管理組合活動に無関心な区分所有者の増加」(34.8%)、「理事の選任が困難」(31.8%)だった。

特にタワーマンションではこうした傾向が強く、居住者を集めた座談会では「ご近所づきあいが面倒だからタワーに越した」という話を何人もから聞いたことがあり、周囲と付き合いたくないという人が一定数いることは間違いない。

だが、2011年の東日本大震災以降、事情は少しずつ変わってきている。たとえば2013年に、震災後初めて湾岸で分譲されたプラウドタワー東雲キャナルコートでは町内会的なコミュニティが生まれ、積極的に各種イベント行われている。

豊洲ではシティタワーズ豊洲ザ・シンボルが豊洲地区の避難所連絡会などを通じて近隣マンションと情報交換を進めており、今後、複数マンション合同での防災訓練を予定、いずれは豊洲3丁目全体で足並みを揃えていくという計画もあるとか。流山市のおおたかの森駅周辺の大規模マンションでも管理組合の役員が集まって管理組合運営その他について話し合う場があると聞いた。有明でもマンション間の連携が活発だ。

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