価値が下がらないマンションの意外な「秘策」 「パークシティ溝の口」の住民が変わったワケ
管理組合の仕組みだけでなく、住民と管理組合の関係も変えた。一般に住民が管理組合に意見を言うには投書するか理事になるしかないが、いずれもハードルが高い。そこで、もっと気軽にモノが言え、管理組合活動にも関心を持ってもらえるようにと、2カ月に一回「ぱーくCafé」と呼ぶ集まりを開催。色々な人の声を聞けるようにした。
山本氏が編集長を務めるホームページ委員会の存在も、住民と管理組合をつなぐ意味でも大きい。ホームページ自体は以前からあったものの、開店休業状態。そこでほとんど新規に作り直すことにし、住民が作っている同好会やサークルを取り上げるなど身近で、管理組合に親しみやすさを感じてもらえるような話題を取り上げ続けるようにし、2日1度(!)の頻度で情報を更新。結果、現在では毎月1万PV、ユニークユーザー1000人にも成長した。大半は住民が閲覧しているという。
資産価値が高いマンションはHPの質が高い
面白いことに資産価値が維持されていると評される大規模マンションではホームページがきちんと作られ、機能している例が多い。これは情報共有が進んでいるという意味であり、管理組合活性化はまずそこから、ということだろう。逆に管理費の使い込みなど問題になる場合は理事長一人に情報、権限が集中、そこに不正が発生している。
もう一つ、外部のマンションに学んだり、連携するという仕組みも模索された。「築年数の古いマンションではよくある植栽を切る、切らないなどというトラブルについては板橋区にあるサンシティに勉強に行った。防災については兵庫県加古川市のグリーンシティを自腹で見学に行き、戻って報告会で情報を共有しました」(山本氏)。
その延長線上にあったのが地域の他のマンションとの連携だ。パークシティ溝の口(以下パーク)がある久本には2丁目に2000年竣工で総戸数548戸のメイフェアパークス溝の口(以下メイフェア)、3丁目に2006年竣工で総戸数648戸のザ・タワー&パークス田園都市溝の口(以下タワーパークス)という3つの大規模マンションがある。
竣工年が違うことからも分かるように、それぞれの入居者は微妙に違い、タワーパークスは20代~30代の子育て世帯中心、メイフェアは40~50代の働き盛り中心、そしてパークは前述の通り、60代中心である。とすれば、この3マンションが連携すれば、様々な年代が揃う。
以前から町内会を通じて祭りに使う餅つきや焼き鳥の道具を貸し借りするなどの付き合いがあったため、そこから交流を徐々に深めた。パークは管理や修繕について経験があるため、どうやったら修繕がうまく行くかや、節約のコツ、質の高い事業者などを教えることができる一方、子供の少ないパークのイベントに他マンションの子供が参加できれば盛り上がる。また、「タワーパークスはまだ、祭りがないのでやり方を知りたいそうです」(山本氏)。
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