勉強しない「文系大学生」に勉強させる方法 就活時期よりも、この「構造」を変えよ

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なぜなら、大学の経営を考えると、単純に卒業を厳しくしてしまうことによって、応募学生が減ってしまうリスクが高いからです。東京大学などの一部の難関大学では、今でも卒業は大変難しい状態になっていますが、これは東大というブランドがあればこそです。このような手法を自律的にとれるのは東大のような一部の難関大学だけで、少子化の中、経営に苦心しているような大学では、なかなか難しいというのが現実なのです。

これは、経団連などが決めた就活開始時期が、何十年も一向に守られないのと、構造は同じです。採用活動は企業の経営に大きく関与する問題で、個々の企業が採用の成功を考えると、愚直に時期を守ることなどできないのです。個々に事情が違い、それが経営課題に直結している問題は、短絡的なルールを作っても守られないものです。

「リシュ面」が、学生のモチベーションを上げる

このような状況下、現実的な解決策として考えられるのが、「企業がリシュ面を導入する」ことです。企業が採用面接において、以下のような質問をするのです。

「一番力を入れた授業はどれですか? 力を入れた理由は?」
「今から振り返ってみて、社会に出てから役に立ちそうな授業はどれですか?」
「一番力がついたと思える授業はどれで、それはどんな力ですか?」
「経営学とは、どういう内容ですか? わかりやすく説明してください」
「マーケティング論とマーケティング戦略論の授業によく出ていたと言っていましたが、2つの授業の最も大きな違いを教えてください」

 

このような質問には、「意義、意味のある授業」「教え方がうまい授業」を選択したほうが回答しやすくなります。また単に単位がとれたかどうかではなく、「内容を理解する」ことが重要になります。

つまり就職活動を考慮することで「簡単に単位を取得できる授業を選択して効率的に単位をとる」から「良い授業を選択して、その授業の内容はきちんと理解する」へと、学生の履修行動が変わるわけです。

大学に入学して最初に就職に関する情報を提供してくれるのは、クラブやサークル、ゼミなどの先輩です。いままでは、「就職には勉強よりも、学業外で何やっていたのかが重要で、うちのサークルの先輩はけっこう、いいところに就職できているよ」などと言われてきました。それが「就活では課外活動の話だけでなく、学業の話も聞かれるので、授業はある程度きっちり理解しておくほうがいいよ」というアドバイスに変わるわけです。

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