最強市民ランナーが少ない練習で勝てるワケ

「アマの星」川内優輝"育ての親"が語る

でも、それでいいのです。一般常識的には、高校より大学のほうが厳しい練習をするのが当たり前かもしれませんが、私のやり方は違います。"頑張りすぎない""走りを楽しむ"が、私のモットーなのです。

そもそも、高校時代に走り込んでおらず、脚ができていない学習院大の選手を練習で追い込めば、必ずや故障します。

箱根駅伝を戦うには1区から10区まで10人の選手がいればいいわけで、補欠の選手を含めてもエントリーできるのは16人です。部員の多い大学の陸上競技部は、長距離だけでも100人近くの選手を抱えています。

しかし、学習院ではチームに長距離選手が12、13人しかいないので、故障者が出ると10月の箱根駅伝の予選会にも出場できなくなってしまいます。

この少人数でまわさないといけないチーム状況があるわけで、監督として選手たちを故障させるわけにはいかないのです。

選手がたくさんいる強豪校であれば、厳しい練習を課して故障者が出ても、故障せずに"生き残った選手"だけでチームを編成できます。そういう強豪校と学習院大は、練習の前提条件がまったく違うのです。

箱根駅伝の強豪校は通常、朝食前の朝練習で10〜15㎞ほど走りますが、学習院大では朝練習をしません。他の強豪校のように寮生活ではないので、毎朝集合するのが難しいという事情もありますが、それよりも本練習以外に毎朝そんなに走ると故障を招くから実施していないのです。

厳しい練習を課しても故障せず"生き残った選手"だけを本番で起用するのは、私にいわせれば誰にでもできるコーチングです。故障させることなく選手たちの潜在能力を高めることこそ、本当の指導者の役割だと思うのです。

「水・土曜のポイント練習だけは集中しよう」「その他の日はジョッグで疲れを抜こう」――このシンプルな二本立てで練習にメリハリをつけることが、故障せずに強くなるためのポイントなのです。

市民ランナーも故障に苦しんでいる

これは一般の市民ランナーにも同様のことがいえます。

30代から50代にかけて、多くのビジネスパーソンが日々仕事とともにランニングに勤しみ、マラソンに挑戦しています。冬のマラソンシーズンになると、毎週のように全国各地のレースにチャレンジする市民ランナーもいます。

マラソンで速くなるには、練習内容も大切ですが、もっと大切なのは故障しないようにすること。故障してしまえば練習もできず、レースにも出場できなくなり、それまで培ってきた努力がご破算になりかねません。

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