ストレスに強い人が実践する毎朝1分の習慣 スタンフォード大の学生たちもやっている

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――マインドセット介入はどういう人に、より効果があるのでしょう。

私の経験上効果が早いのは、ここ最近人生での大きなトラウマに見舞われたり、大事な人を失くしたりした経験を持つ人だ。そういう人たちは心に深い傷を負っていたり、不安を抱えていたり、自信を喪失したりしており、本気でストレスと対峙する必要があるからだろう。

マインドセットは、日々の小さなストレスを抱えている人より、大きなストレスを抱えている人に効果を発揮しやすいようだ。実際、人生がそこそこうまくいっている人は、ストレスに対処する必要を感じにくい。

「ラン型」はマインドセットが効きやすい

――世の中にはもともと、ストレスに強いタイプもいるようですね。

心理学者の間では、人はタンポポとランの二つのタイプに大別されると言われている。タンポポ型は生まれつきどんな状況に置かれても強く、たくましく育つ。貧困に置かれようが虐待されようが、心が折れずにたくましく生きる。

ただし、こういう子の精神力をそれ以上伸ばすのは困難で、親の努力次第で何かが変わることはなく、「そのまま」育つ傾向がある。一方、ラン型の子は環境によって育ち方が大きく変わり、親や教師の努力、どういったチャンスが与えられるか、といったことが影響する。

マインドセットは、間違いなくラン型にぴったりなストレス対処法だ。ランはストレスによるトラウマを引き起こしやすい一方、人に対す思いやりが強く、感情移入もしやすい。タンポポ型はそもそも、ストレスを感じること自体が少ないので、私の本を読む必要もないだろう。

――ストレスに弱いタイプの人でも、とらえ方さえ変えれば人生において成功することはできますか。

週刊東洋経済12月19日号の特集は『ストレスチェックがやって来た!』です。全ビジネスマンを巻き込む大騒動を全36ページで追いました。上の画像をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

定義にもよるが、私が言う成功者は、自らの価値観に沿った人生を送り、自分が世界に提供したいと思ったものを提供し、自身が下した決断に満足している人のことだ。ストレスを感じるのは自らの価値が危機にさらされる局面といえる。成功者はストレスを通して、自分にとって大切なことは何か、これから何をしたいのかにうまく気がつけているのだろう。

非常に興味深い実験結果として、中年期以降に職場や地域で何らかの貢献をして周囲から尊敬されている人の多くは共通して、困難を乗り越えた経験を持っている。うつになるなど内面的な問題を抱えていたりと経験はそれぞれだが、こうした経験を乗り越えた人は『他者のためになる』形の成功に向かう傾向があるようだ。

一方、経済的に豊かだったり仕事で大きな実績を収めた人がストレスを味方につけているとは限らない。稼いでいても自分の価値観に沿わぬことをやっていたり、貧しく不毛な人間関係を構築していたりすることもある。

(「週刊東洋経済」2015年12月19日号<14日発売>より一部転載)

 

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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