コボのネガティブな口コミは消す 楽天・三木谷浩史会長兼社長に聞く

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 ――電子書籍事業は2011年8月から書籍配信サービス「Raboo(ラブー)」を始め、そのときは鈴木尚・楽天取締役常務執行役員が統括していたが、途中で三木谷社長の直轄になり、ソニーで電子書籍事業に携わった本間毅氏が現場の責任者になった。このいきさつの背景は。

元々私の直轄と言える形だったが、鈴木とは個人的に色々あり、対外的にも出版社の方々にわれわれとしては単純な一事業ではなく、全社レベルでコミットしているということを理解してもらう必要があり、そうした人事を行った。

――三木谷社長自身、積極的にトップ営業も行っているようだ。

バリバリやってる。

――そもそも電子書籍事業に参入することで、既存事業とはどのように連携を取れるのか。「コボ タッチ」の後継機種「kobo vox(コボ ボックス)」に楽天市場などのアプリケーションを搭載し、既存事業と相乗効果を生み出したいということは、楽天市場の出店者向けのイベントで自身が述べている。

「コボ ボックス」を日本でいつ投入するかというスケジュールは未定だ。基本的には欧米の販売状況を見ながら、日本での投入を判断することになる。今回の問題を見ても分かるように日本人のユーザーはクオリティに対してうるさいので、そこは慎重に判断したい。

相乗効果については、個人的に「神の雫」というワインのマンガが好きで読んでいるが、このワインどこかに売ってないかとついつい楽天市場で調べてしまう。

マンガだけでなくファッション誌を見て服を買いたい、小説に出てきた場所に旅行に行きたいなど、本自体がインフルエンサーになれば、新しい読者の楽しみができると思っている。楽天の既存事業との連携も可能になる。

ミスリーディングする口コミ以外はできるだけ残す

 ――開始1週間について改めて振り返り、これまでのネットサービスは開始してから改善するというやり方が多かったと思うが、こと書籍に関しては、これまでのユーザーと反応が違ったのでは。

今回はインターネットのヘビーユーザーではない人もコボを買っていて、非常に興味を持っている。そのため、初期設定はより簡単にする必要があることを学んだ。

間もなく、コンピュータにつながなくても初期設定出来るようにする。そういう簡易化はどんどんやっていく。

ただ、どのユーザーからも、いったん使い出してしまえば、サービスやインターフェイスに関する評価はものすごく高い。初期設定の部分を除けば、値段が安い、使いやすい、かっこいいという評判がほとんどだ。

言い方が悪いかもしれないが、改修した問題については、ミスリーディングする口コミは消して、それ以外のものに関してはできるだけ残したらどうですか、というのが基本的な考え方だ。
(撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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